平成24年6月23日

 ディレクトフォース会員 金井 勇司


 今井智之さんの
《4月23日勉強会、中野剛志先生の「TPP亡国論」を拝聴して》を拝読して

本稿に関するご意見が、今井智之さんから寄せられました。こちらからご覧ください。

先ず、今井智之さんより講師の中野剛志先生の態度・応対についてご批判がありましたが、実は、講演が始まる前、私は先生に対し、「先生のお父さんのような年代の人たちばかりだが、遠慮しないでやって欲しい」とアドバイスしました。今井智之さんにとって、「気に入らない」と言うことであれば、私のアドバイスが間違っていたことになりますが、私は、TVなどで見られる先生のキャラクターが良く出ていて大変良かったと思っています。

講演が終わって、参加されたお1人から今井智之さんと同じようなご意見を伺いました。我々年代から見ると、「40歳そこそこの青二才が偉そうに」と感ずるところもあることは理解できますが、先日、堤尭さん(文藝春秋OB、元編集長)と食事をした時、この話をしましたところ、我々と同年代の堤尭さんですが、先生のことをべた褒めしておりました。

「中野剛志」をWikipediaで見ますと、2011年3月17日、「TPP亡国論」の印税収入の半分相当を、日本赤十字社の「東日本大震災義援金」に寄付したと書かれておりました。私の息子くらいの年代ですが、たしたものだと思っています。

まぁ、この問題は主観的な問題なので、この辺にして、本論に移ることにします。

さて、私は、当初、TPPについては、「プラス・マイナスして、日本全体でプラスであれば、後は、国内で調整すれば良いだけの問題故、TPPは賛成」と単純に考えていました。また、「日本の農業は、工業のようにもっと海外展開すべきだ」などと考えていました。しかし、その後、TPPは、関税問題だけでなく、21分野におよぶ取決めであることなどを教えられ、単に、金銭的損得だけの問題ではなく、健康問題など、いろいろな点について、検討が必要であるとの認識に変わりました。

特に、下記の2つの事で、考えが、TPP反対論に変ってしまいました。

  1. 今年1月、某社は、20年前のことをアメリカ当局に脅かされて、40億円という巨額の司法取引に応ぜざるをえなくなったこと(詳細は分かりませんが、調査して何か出てきたら、アメリカ市場から締め出すと言われれば、司法取引に応ぜざるを得ないものと思います)。
  2. 日本における公共工事入札をTPP参加各国への国際入札とした場合、日本の大手ゼネコンは、軒並み潰れかもしれないだろうと考えるようになったこと(我々が、東南アジアや中近東で、英文の国際入札に参加するのと同じく、日本の公共工事入札も英文にさせられベクテルなどのアメリカ企業が人件費の安い東南アジアの労働者を使って応札して、安かろう悪かろうと言ってもこれがGlobal Standardと言って全部持って行くことも考えられます)。

一般的には、下記のような点が懸念されます。軍事的に抑えつけられている日本がアメリカと交渉して、「アメリカがOKしなければ、交渉を打ち切る」などと言えるのでしょうか、大いに疑問があります。

  1. 牛肉、遺伝子組み換え食品などアメリカの基準で輸入されるようになるのではないか。
  2. 混合診療の解禁など、国民皆保険制度が崩壊するのではないか。
  3. 郵政の簡保・共済について、民間金融機関との公平な競争を実現する観点から、アメリカの制度に変更させられるのではないか。
  4. 「ISDS条項」がアメリカ企業に乱用される恐れはないか。仲裁に持ち込まれた場合、日本の文化・慣習は無視され、損得勘定だけで判定されないか。最終的には、アメリカ政府が前面に出て来ないか。

TPPは(a)シンガポール(b)チリー(c)ブルネイ(d)ペルー(e)ベトナム(f)マレー(g)豪州(h)ニュージーランド(i)米国の9か国が相手ですが、日本は、この内(a)〜(f)までの6か国とはEPAを締結済みで、(g)とはEPAを現在交渉中です。国ごとに状況が全部違うのだから、(h) (i)も国別にEPAを締結すれば良いと考えるのに、何故、10ヶ国をまとめる必要があるのかの日本政府の説明を私は聞いたことがありません。

昨年11月、キッシンジャー、ペリー元国務長官、シーファー前駐日大使、アーミテージ元国務副長官らが大挙して、野田総理に圧力を掛けに来日しており、アメリカは、2008年9月のリーマンショック後の経済の落ち込み、とりわけ失業率を改善させようとする意図が、このことを以ってしても見え見えであると私は考えます。

私が、いろいろとTPPについて疑問に思っていた頃、私の中学時代の同級生の山本君から「TPPは世を忍ぶ仮の姿 他」が送られてきました。私は、まだ勉強中で、今井智之さんに対する反論はとても無理なので、私に代わって、山本君に反論を頼みました。

山本君の反論と、山本君が書いた「TPPは世を忍ぶ仮の姿 他」をご一読頂き、更に反論なりご意見を頂ければ有難いと思います。

以上

4月23日勉強会「TPP亡国論」の内容はこちらに掲載してあります。

今井智之さんの 「4月23日勉強会、中野剛志先生の「TPP亡国論」を拝聴して」はこちらに掲載してあります。