一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの社会貢献活動
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教育部会 授業支援の会

伴走授業の詳細

3フェーズ(授業設計、内容面深化、発表力強化)に分けて、伴走しました。

フェーズ1:授業設計フェーズ:2ヶ月:Zoom x4 対面なし

  • まずは、内村先生とのZoomでの議論により、学校側の目標を私たちが深く理解しました。
  • その理解に立って、内村先生が作成された授業計画をもとに、学校側の目標、制限事項(時間数、試験期間、夏休み期間)等を考慮し、学校側と私たちがお手伝いする部分の切り分け、連携性・整合性を明確にしました。
  • さらに、私たちがお手伝いする部分の授業内容、タイミング、方式(講義 or グループディスカッション、対面 or Zoom等)などを検討しました。また、授業後の生徒からのフィードバック重視し、毎授業後内村先生とZoomでの振返りもスケジュール化しました。

フェーズ2:探究活動における内容面深化フェーズ:3ヶ月 Zoom x5、対面 x5

フェーズ1で内村先生に賛同いただいた私たちの担当分に従って、生徒の3つの活動(課題設定時、活動解決時、第一回発表)に応じて私たちは伴走しました。

フェーズ2-1:課題設定時の私たちの伴走:

  • 課題設定は生徒が一番悩み、一番多くの時間を割いた活動でした。生徒がそれぞれ10個の「自分ごとなる課題」候補(10個/人 x 21人 = 合計210個)を挙げ、グループディスカッションを通じて6個(1個/グループ x6)の課題に絞り込んでいきました。この過程で、私たちは伴走しながら次のような「なぜ」問いかけをし、生徒自身に考えてもらうようにしました。:
    • 選ぼうとしている課題候補は本当に自分ごととして捉えられるか?それはなぜか?
    • その課題候補の解決策は他人(世界、国、沼津市、社会、他人等々)任せでなく、自分がある程度主体的に取り組めるものになりそうと考えるか?それはなぜか?
    • 他の課題候補でなくなぜその課題候補を選ぼうとしているのか?
    • その課題候補に対してある程度具体的・現実的な活動計画が考えられるか?それはなぜか?
  • 上記のように、生徒に対して「なぜ、なぜ、なぜ」を問いかけることで、生徒自身が自ら深く考えるよう伴走しました。たとえ私たちが答えを持っていても、それをそのまま生徒に提示するのではなく、生徒自身の力でその答えに到達するアドバイスを提示する伴走方式を実施しました。この結果生徒自身が以下の6つの課題・目標を決定しました。
    • 「人前で発表するとき自分の意見を伝えられるようになりたい」
    • 「高校生のボランティア意識を上げるためには?」
    • 「SDGsについて学習しても、解決するために行動できていない」
    • 「誰もが過ごしやすい環境にするたにはどうすればよいか?ジェンダー問題について考える」
    • 「心のバリアフリーを広めよう」
    • 「目に視えない障がい者への知識や理解が不足している」

フェーズ2-2:活動解決時の私たちの伴走:

  • このフェーズでは課題解決のための活動計画を作成してもらいました。ここで私たちが気づいたのは、生徒たちがアンケート、現地調査などの「解決のための活動」にすぐに取りかかりがちだということでした。課題解決活動に熱心なのはすばらしいのですが、その活動はどのような目的で行っているかという点の意識がもやもやすると薄れ、活動すること自体が目的化する、つまり「目的と手段が逆転しがち」ということでした。ですから、このフェーズ2-2では生徒たちに次のような問いかけを行いました:
    • そのアンケート・調査の目的は何か?なぜその目的を考えたか
    • 仮説を立て検証しようとしているか?なぜその仮説を立てたか
    • 自分たちが立てた仮説と異なる回答が得られそうな場合、なぜ想定回答と異なる回答になるか深堀質問は準備できているか
    • 課題解決につながるアンケート・調査か?なぜつながると考えるのか
  • ここでも、私たちは、「この活動計画はXXXXのように変更した方がよい」と提示するのでなく、上記のような質問を投げかけることで、生徒自身で自ら考えてもらうようにしました。
  • さらに活動が進んで、アンケートや現地調査で集めた様々な情報を分析し、解決策を検討することになりました。こでも課題解決策の回答を私たちが提示するのではなく、生徒自身に深く考えてもらうために課題解決ツールとして、実社会、特に製造業で多用される特性要因図を紹介しました。このツールを使うことで生徒自身が課題解決に向けて「なぜ・なぜ」を自ら繰り返し、自ら深堀することで真の解決策に近づこうとしてもらうようにしました。
  • ここでは内村先生と私たち2人講師の合計3人が、それぞれ2グループを担当し、生徒と車座になって座り込み、特性要因図を生徒グループの一員として一緒に考えました。つまり3人(内村先生、講師 x2)とも高校生時代に戻って、自分ならどうこの課題・問題を解決するだろうかと考えたわけです。

フェーズ2-3:第一回発表時のDFの伴走

  • まず、第一回発表用の原稿段階資料を作成してもらい、それを使って、私たちに向かって発表のリハーサルをしてもらいました。このリハーサル中に、私たちは次のような問いかけを生徒に行いました:
    • その発表内容は自分たちが心から信じていて、熱く語れる内容か
    • その発表は当初の課題・目的を解決できる内容か
    • その発表は結論が明確か
    • 発表資料の各ページは訴求したい点が明確で前・後のページと論理的に流れているか
  • このリハーサルを経た本番の第一回発表はリハーサル時に比べ非常に大きな進歩がみられました。

フェーズ3:探究活動における発表力、説得力強化フェーズ:
  4ヶ月Zoom x3、対面 x1

  • フェーズ2-3の第一回発表を終えて内村先生とご相談すると、「発表力、説得力」を強化するともっとすばらしい結果が生まれるに違いないとの結論になり、このフェーズ3を実施しました。フェーズ1および2では「内容」面に注力したのに対し、フェーズ3ではその「内容」をいかに相手に伝えるかという「発表力・説得力」に注力したわけです。
  • まず、講師によるプレゼンテーション・スキル強化のための講義を行いました。この中には生徒が見慣れないものもありました。例えば次のようなことでした。
    • プレゼンテーションの最初の1分間で、すべての資料で訴求したいことをまとめた1ページの「要約」を作成し説明すること
    • プレゼンテーションする時は手元の資料ではなく相手の目を見て自分の言葉で熱く語りかけること
    • グループで前に出てきて順にプレゼンテーションする場合、説明している生徒以外も聴衆の反応を見ること
    プレゼンテーション・スキル強化の講義風景
    プレゼンテーション・スキル強化の講義風景
  • この講義の後、生徒たちはフェーズ2-3で作成した資料や話し方を見直しましたこの時期は生徒の受験勉強のピークとも重なっておりいろいろ苦労したようです。2022年12月に対面で、最終発表会が行われました。第一回発表に比べ、格段の進歩が見られ、「内容」、「発表力・説得力」ともにすばらしいものとなり、講師は2人とも生徒たちの成長ぶりに感激しました。
  • こうして、生徒たちとは7ヶ月、内村先生との授業設計フェーズを含めると9ヶ月もの長期間にわたる伴走授業は終了しました。