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一般社団法人 ディレクトフォース

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 2019/04/16(No291)

日本の学校教育雑感

ーーこれで良いのか日本の家庭教育ーー

眞弓 博司

ディレクトフォースに入会して以来、様々な活動への参加機会を頂いた。その中で、現在も注力している活動は、登山教育である。登山は学生・現役時代を通じてほとんど経験しておらず、DFに入会した後、8年前より初歩から開始した。幸いDFメンバーの良き指導者と良き仲間に恵まれ、時間を見つけては山登りをしている。下山後の個性豊かなメンバーとの懇親会も楽しい。退役後、最もリラックス出来る活動であり、今後も月2回のペースで続けていきたいと思っている。

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大学での講義

もう一つの注力している活動は教育であるが、これは奥行きが深い。仕事の関係で海外生活が長かったが、同伴した2人の娘は香港の日本人学校卒であり、また、駐在地であったドイツとイギリスの大学にそれぞれ入学・卒業したこともあり、イギリスとドイツの教育制度について調べたことがあった。日本の教育の実態とはかなりの違いがある。

大学での講義はかれこれ10年以上続けており、出講した大学の数は11校ある。DF以外の団体より多くの講義依頼を受けたこともあり、年間90分15コマをこなした年もあった。講義を始めた頃は、学生の受講態度に驚かされた。帽子を被ったまま入室する者、講義の最初より眠る者、雑談する者、椅子に膝立ちする者。担当の教授は注意をしない。教授の興味は講義内容ではなく、学生の自分への評価、父兄のクレーム、大学幹部の自分への評判にあるようだった。

双方向の講義はある程度学生の興味を喚起するが、質問を促しても挙手する者は少なく、またこちらから指名した学生は、何を言わんとしているか分からなかった。プレゼン能力とディベート能力がお粗末と言うしかない。勿論、大学により程度の差はあるが。概して男子学生にこの傾向が強い。競争意識を弱め、自己主張を躊躇させる“ゆとり教育”の悪影響と思ったが、どうやら他に原因がありそうだ。

入学式・卒業式は両親・親族で会場はあふれ、就職ガイダンスの出席者も父兄中心である由。子どもが幾つになっても、親が付きまとうのが日本の家庭教育の様だ。一方、英国とドイツでは大学に入学すると子どもは完全に親離れする。授業料は無料(英国は有料になった)と言う事情もあるが、子どもは学生ローンを組み経済的にも独立する。日本の様に子どもがいつまでも親のすねをかじるようなことは無い。大学教育の質を問う前に、家庭教育に大きな問題があるように思える。

小学校・中学校での出前理科実験教室

大学の講義が切掛となり、誘われるままディレクトフォースの理科実験グループの活動に参加してきた。グループの2018年実績は、172箇所、315教室、参加者数7,968名であり、毎年伸長している。各地で理科実験教室を開催するにつれ、日本の学校教育の実情が分かるようになってきた(ほんの一部であろうが)。

子育ては“家庭・学校・社会”が連携して当たることだと昔から言われてきた。被災地や離島に遠征し、理科実験教室を開催してきたが、田舎ではまさしくこの三位一体が現在も実行されている。理科実験に訪問した被災地や離島では、町を歩いていると多くの子どもより挨拶を受ける。人口が少ない為、来訪者はすぐ分かるとう利点があるが、明るい声で子ども達が次々に、“こんにちは”と挨拶をするとき、それだけで気分が良くなる。

理科実験教室では、挨拶で始まり、挨拶で終える授業の礼容が実行される。目を輝かしながら真剣に取り組む姿勢に、指導する側も達成感を満喫出来る。南相馬市の小学校では、教室の窓を全て開け、生徒が“さよなら。有り難う”と大声で送ってくれた。躾は家庭が第一義の責任であり、地域社会が支援すべきことである。

一方、首都圏内の一部の小学校では、児童は校内においても挨拶をせず、自分勝手な発言で授業の邪魔をする場面が少なくない。また教諭は理科実験教室に現れず、完全に任せきりになる場合もあった。

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サイエンスフェスティバルin飯能にて
サイエンスフェスティバルin飯能にて

学校で虐めが起こると、メディアは全てを学校や教育委員会の責任に結びつけるが、自殺をするまで子どもの心理状態を把握できない親にも大きな責任があると言えば言い過ぎになるのだろうか。また、昨今のメディアを騒がしている家庭内の児童虐待はどの様にとらえるべきであろうか。因みに、英国・ドイツの学校では道徳・躾の教科は無い。全て親の責任である。

日本の学校教育は、戦後の“詰め込み教育”から“ゆとり教育”へ、そして2011年の見直しを経て、今新たな学習指導要領に基づく教育がなされようとしている。その結果、国際教育到達度評価協会(IEA)の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)では、理科の平均点が改善され、国際比較において日本の小学校は3位、中学校は2位となった。

一方、昨年8月に公表された文科省平成30年度全国学力・学習調査において、小学校並びに中学校での理科教育に付き、以下の2点の質問にたいする学校側の回答に問題点が指摘されている。即ち、“児童・生徒が科学的な体験や自然体験する授業を行ったか”という設問に対し、良く行ったと答えた小学校は全体の25%、中学校は24%しかなかった。

また、“実生活における事業との関連を図った授業を行ったか”という設問に、良く行ったと言う小学校は全体の20%、中学校は29%であった。DFの理科実験教室は、体験型理科実験を行うことを主眼にして、大勢の講師を派遣し、児童・生徒に直接体験指導をする。また、理科と実社会との関連は、メンバーが企業戦士であったことより、より具体的に説明が出来る。まさに、上記学校の理科教育が抱える問題点を補充できる活動となっている。   

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墨流し授業風景
墨流し授業風景

先月、東京都足立区の小学校で理科授業の研究発表会があり、3年生から5年生の理科授業を見学することが出来た。平成32年度より完全実施される新学習指導要領に基づく理科学習指導案が発表され、その実践を見学できた。担当教諭が児童の個性を把握しつつ、児童ひとりひとりに見方・考え方を働かせ、意見を出させ、調べさせていく状況(児童が主体的、対話的に深く学ぶ事を通じて人間形成を図る)をしっかり拝見することが出来た。

但し、実験の準備と後片付けを1人の先生が行う事は難しい。取分け、実験器具の準備とその使用指導を大勢の児童に瞬時に行う事は難しく、自ずと限られたテーマの実験にならざるを得ない。また、実社会で科学の実用事例を示す実験テーマを実施することも出来ないと感じた。ここにDF理科実験グループの活動が、学校支援として認知される所以があると改めて確認できた。

子ども達が強く、明るく、逞しく成長する為に、私たちの活動が少しでも役立つ事を念じている。エンドマーク

まゆみひろし ディレクトフォース会員(491)
元 丸紅 

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