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 2017/2/1(No238)

世界でも有数な親日国 ーー タイの人々について

金澤 尚武

筆者

皆さんはタイ(正式名称タイ王国)にはどのようなイメージをお持ちでしょうか?スパイシーなタイ料理、敬虔な仏教国、タイシルクなどの伝統工芸品、70年に及ぶ最長在位記録をお持ちだったプーミポン・アドゥンヤデート国王(国王は10月13日に崩御されましたことを謹んで申し上げます)などなど。どれもタイの持つ様々な側面、魅力を表していると思います。

これ以外にも最近は知られる様になってきましたが、タイは世界でも有数な親日国です。アメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国、タイ国民の日本に対する好感度調査(新聞通信協会)で「日本に好感が持てる」と回答した割合の1位はタイで91%、2位のアメリカは79%とタイの数字は圧倒的です。因みに日本からの各国親近感調査(内閣府)でみると1位はアメリカで84%でした。つまり、我々日本人がアメリカに対する親しみ、好意と同等、それ以上の気持ちをタイの人々は日本に持っている訳です。それでは日本が大好きなタイの人々はどういう人たちでしょうか?もちろん答えは1つではありませんが、私が経験したタイの人となりの一端をご紹介します。

タイ王宮付近

王宮ならびに王宮前広場周辺は、タイを代表する文化・芸術スポット。国立博物館、国立美術館、国立劇場など、一日で廻りきれないほどの施設群が集積している。

前社のタイ工場の社員たちと関わりを持っていた時に感じ、理解したことです。工場が目指すものは高品質製品の維持、適性利益の創出だと思いますが、それを実現する要は人です。その人に関係した問題を話し合うためにタイに飛んだ時のことです。私は最初に各現場の職長クラスと複数の社員たちとの個人面談を行い、そこで出た諸問題を工場経営陣(日本人)と協議し会社の考え、解決策を決定してから、面談者全員との集会を開きました。

その場で、面談者たちの日ごろの努力を具体的に伝え感謝した後で、彼・彼女たちの指摘した問題点、要望に対する対応を率直に話しました。それを受けての参加者のコメントを聞き、その場で会社の解決策を伝えました。その結果会議は穏やかに終了し社員のモチベーションアップが図られ、工場の各目標は達成されました。

何が良かったのか?このようなアプローチがタイの人には極めて納得性が高かったからです。なぜか?実はこのやり方は現地人事のタイ人からの提言なのです。

現地人事が教示してくれたのは、「タイ人独特の考え方、マナーに合致したやり方が好ましい」との示唆でした。それらは何か?。

  1. タイ人は周りの人との良好な関係を非常に大切と考えるため、会議の場などで強く自我(意見)を出さない。特に職位の高い人の考え、意見にあらがうことはまずしない。
  2. 周囲の人と無用な対立を起こし不快な状況を作ることを好まない。楽しく協力的な関係を維持したい場合は、往々にして自己の関心や欲望を抑制することで良好な関係を保とうとする。これをグレンチャイ(遠慮、気遣い)と呼称する。

    世界3大スープ「トムヤンクン」

    「トム」は煮る、「ヤム」は和える、「クン」はエビ。ぷりぷりのエビが入った酸っぱくて辛いスープ。

    タイスキ

    海の幸、川の幸に恵まれているタイ。新鮮な魚貝類の素材そのものの美味しさが味わえるタイスキは、人気メニューの一つ。

  3. タイの小乗仏教の影響から、社会的地位は前世からの功徳の結果との考えが浸透しており、上位の人間には畏敬をもって接することが大事。地位が高い人は下位の人には慈悲の心、態度で接しなければならない。上位の人は恵みを施し下位の人は恩を感じるという図式となる。この図式の最高上位者がタイの国王と考えられている。

職位が高いと思う人の意見には従うという気質やグレンチャイの精神に影響され、単に意見を聴取するという姿勢、上目目線では問題の本質は見えません。また、職位が上位の人間は他の人を思いやりと慈悲の態度で接し、具体的なものを示す・施すことがタイ社会の基本構図には合っている訳です。

グローバリゼーションの進展の中で、ダイバーシティー(多様性)の尊重が叫ばれていますが、この事例はその一例ではないでしょうか。そして、日本人の美徳とも思う。

思いやり、気遣い、遠慮の精神が多くの国民に息づいているタイという国、人々に私は強い親しみと共感を覚えています。

機会があれば、皆さまも是非“微笑みの国タイ”を訪れてみてください。幸せな出会いが多くあると私は思っています。

ありがとうございました。コックンカップ。エンドマーク

かなざわひさたけ デイレクトフォース会員(1144)
日産ディーゼル  アデランス

〈註〉画像は、説明を含めタイ国政府観光庁のホームページから、掲載許可を得て転載しました。

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