2007/12/16 (No.19)
「 '黒船' は語る」
藤井 健
現役時代モノ作り一筋でやってきて、いささか凝り固まった頭に月々新鮮な刺激を与えてくれるもの、私にとってそれはDFの勉強会と‘黒船研究会’であるようだ。
嘉永6年(1853年)アメリカ海軍提督ペリーが、蒸気船を含む4隻の艦隊を率いて日本に来航し、浦賀に上陸し開国をせまる。長く鎖国政策を続けていた幕府は、大きな衝撃を受け狼狽した。翌年横浜で和親条約、安政5年(1858年)修好通商条約締結、横浜開港と歴史は展開していくのだが‘黒船研究会’はこの時期から幕末・維新に焦点を当て、幕府や各藩はどう動いたか、庶民はどう反応したか、当時の世界の勢力バランスと外交等、様々なテーマについて発表を聞き、自由に討議する気楽な研究会である。数年前友人に誘われてこの会に入った。現役時代造船の仕事に長く関わっていたこともあり、‘船’と聞いて強いノスタルジャを感じたし、地元横浜の郷土史にも興味を覚えたからである。会のメンバーも多士済々でこの道一筋に研究を続け、優れた著作を刊行されている方も多い。
調べていくうちに、大変革のこの時期、日本人が考えられるあらゆる方法で情報を集め、巧みに知恵を働かせて時代を乗り切ってきたプロセスが分かり感心する。錚々たる幕末のスター達に注目してしまいがちな、「倒幕と攘夷を巡る血なまぐさい幕末史」というステレオタイプの理解が単純すぎたことに気付かされるのだ。ほんとうに歴史を動かした主体は同心・与力といった下級武士であり、外国人をして‘侮れない国日本’と思わせ敬意すら感じさせたのは教養も倫理観も豊かであった一般庶民であったのだ。
今グローバル化の嵐が吹きまくる大変革の時が続く。これをどう乗り切っていくか。やはり情報と知恵による乾坤一擲の勝負になるのだろうか。幕末の人々が必死にその時代を乗り切ったように。■
(DF会員・元三菱重工)
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2007/12/01 (No.18)
「花より団子」
邊見 敏江
朝晩の寒さもきびしくなってきました。会員の皆様におかれましては益々ご健勝のことと慶んでおります。このたび、イトーヨーカ堂「成長の源流」を出版しました。ご笑読いただけたら幸甚です。引き続いて「源流の進化」を出す予定です。
ところでこの夏は、アメリカ東海岸、歴史と芸術を巡る旅に行ってきました。ボストン、ストックブリッジ、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンへの旅でした。海外への家族旅行は、ヨーロッパを中心に1993年から毎年続けております。昨年は2回行きました。旅を通じて、新しい仲間や現地の人と会い、すばらしい自然や芸術に感動し、その国の歴史や文化を楽しみながら学んでいます。実は、2000年にロードスターでロンドンからパリ、オリエント急行に乗りついでパリからサンタルチアまで旅をした仲間、14人と毎年飲み会を開いております。今年は11月に淡島ホテルで1泊しながらの開催です。
取り持つ縁はお酒です。朝からモーニングシャンパンを楽しみ、昼はグラスワインかビール、夜はフルボトルのワインを飲みほすという楽しみです。一昨年のニース、モナコを起点とした南フランス、ブルゴーニュ地方の旅など、それは、それは飲み疲れました。歴史は過去との対話ですが、旅は花より団子、ワインとの対話が正直なところです。
DFの関係では、過去監査小委員会に参加。外資のTOB型M&Aは、日本の土壌になじまないと信じてきましたが、乱用的買収者に対して情緒で対抗したり、防衛策が強化されたこともあり、予見がやや当たったかなと思っております。今後ともよろしくお願いします。■
(DF会員・
東京大学大学院経済学研究科特任研究員・
元イトーヨーカ堂)
<追記>イトーヨーカ堂「成長の源流」に関する書評が日経新聞に掲載されました。新聞切り抜きはこちらをご覧ください。
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2007/11/16 (No.17)
「働きがいのある会社」
北原 正敏
社会人大学院の担当科目の中で、CSRを研究する時間を持っている。CSRは昨今ブームのような嫌いがあるが、企業が社会の中で生かされていることを思えば、ブームでも流行でもなく、経営のあり方そのものである。ただ、ブームではないと言ったがその内容はますます広がりをみせている。
CSRはすべてのステークホルダーとの関係において社会的責任を果たしていくこととされるが、その中でももっとも大事であるべき自社の社員との関係をよりポジティブに考え、改善をはかる企業が増えてきた。その一里塚になるのが「働きがいのある会社」ランキングである。もともとこの調査は、世界的にも有名な米経済誌「フォーチュン」が毎年1月に発表する“The
100 Best Companies to Work for in America”にデータを提供している「Great
Place to Work Institute (働きがいのある会社研究所)」が世界26ヶ国で展開しているものである。日本では昨年ようやく27ヶ国目に仲間入りした。
調査は@社員の会社、経営者、管理者への信頼感A会社や自分の仕事への誇りB一緒に働いている仲間との連帯感について、それぞれ10数項目にわたって行なわれるが、ポイントは社員の生の声を聞きだしているところである。ぼつぼつ今年の調査が終了するが、どんな会社が上位にランキングされてくるか、いまからその発表が待ち遠しい。■
(DF会員、法政大学大学院政策科学研究科教授、
元・花王株式会社)
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2007/11/01 (No.16)
「ハードトレーニング」
松下 信武
スポーツの世界で、勝つためにはハードトレーニングは必要である。しかし、その競技で頂点を極めようとしたら、闇雲にきついトレーニングをしても目標を達成できるとは限らない。
大相撲でたいへん悲しい事件がおきてしまったが、なぜあのような行為が稽古という名前を借りて行われたのか理解に苦しむ。「ハードトレーニングイコール厳しいしごき」という古い思考方法が残っているからではないか。
現代のスポーツトレーニングでは、肉体と精神の限界に追い込むような練習を行うときは、選手の疲労度や体調、試合日程などを慎重に配慮したうえで実施される。スキルを改善したり、瞬発力を高めるトレーニングは、疲れていた状態で行うと逆効果なことが多い。またぎりぎりまで追い込むトレーニングをしたあとは、適切な休憩を取るようにしている。韓国のショートトラックは世界一であるが、その合宿に参加して、練習の質と量のすばらしさに驚いたが、同時に練習が非常によく考えられて組み立てられていることに感心した。
ビジネスの世界でも同様で、寝食を忘れて仕事に打ち込むことは、コンピテンシーを発達させたり、よい業績を挙げるためには必要なことだが、心身に与える影響が大きい。上司は部下が心身の故障をしないように、人材育成計画をきちんと立てたうえで、ハードワークを割り当てるべきだろう。現代のビジネス界は競争が厳しく、上司には部下のことをあれこれ考えている余裕がないという人もいる。しかし部下のことをあれこれ考えないから、定着率が悪化し、上司に余裕がなくなっていると考えられないだろうか。■
(DF会員・元松下塾社長・
EQジャパン取締役・
現ベルシステム24総合研究所所長)
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2007/10/16 (No.15)
「生活のリズムの中で
ディレクトフォースに期待」
浅野 応孝
サラリーマン現役の頃、週末の休日の1日は我が家の狭い庭に出て、木や草花と対面しながら手入れをするのが1週間の区切りの大切な時間帯だった。茂りすぎた枝の処理、若芽の来年の姿を思い浮かべ枝の伸びる方向に整形をしながら、1週間の仕事の反省と次の計画を考えているといつの間にか時間は過ぎ、夕方のビールの楽しみが増した。
2002年に現役を退任して自由な時間を手に入れ、その時はこれまで出来なかったことに手を出せると思ったし、今度は時間をかけて庭の改造でもやろうと考えた。しかし、現実は毎週庭に出て手入れする時間がむしろ減ってしまい、雑草の天下になってしまった。私にとって庭の草木は仕事のリズムと一体化した、日常生活を反映するものだったと思う。
現役を離れたら趣味の時間を増やし、人生を楽しく過ごすつもりで、晴れた日にはゆっくり草花と対話することもその1つと思っていた。しかし、草花との対話が趣味の内と思っていたのはどうやら間違いだった。
今は、サラリーマン時代とは違う時間割の中でリズムと緊張感を取り戻し、新たな気持ちで庭と対面することで庭の表情も以前より柔らかになっているかなと思っている。以前の枝の姿が気になる庭と異なり、彩りや四季の移り変わりに興味が移ってきた。新しい時間割には、ベンチャー企業の夢への支援や、海外企業へアドバイス、地元ライオンズクラブ活動等のチャレンジもある。中でもDFのプログラムでメンバーと仕事を離れた交流があるのが嬉しいひとときだ。少しづつ輪が広がり、DFの時間割が増え、楽しみの時間の味が深くなるのはありがたいことだ。■
(DF会員・元三菱化学・
現インヴェスト イン ジャーマニー東京事務所)
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2007/10/01 (No.14)
「水野さん、横井さん夢をありがとう」
酒井 尚平
水野勝代表と横井時久事務局長の引き際の見事さには感服しました。大向こうから「大統領!」と喝采したいほど。近頃の政治家とは大違い。多くの退役社会人を 勉強・貢献・趣味の3テーマで未来に向けリード、会員も多彩で紳士の集団、良くその期待に応えたと思います。DFを時代のニーズと捉えたユニークさ、苦難を経て業容拡大。ご立派であり、感謝しています。田中健一新代表は水野さん同様、人並外れた努力家、気配りの方。河村肇事務局長との新コンビに期待しています。
私 4年前、横井さんに勉強会で講演と言われ勉強したのがDF活動のきっかけ。食料に関係し約50年。農政、食料需給を一から見直す機会を得ました。時間は沢山。東大・京大の教授は農政をどう語るかと講義を聴き(落胆)、ネットで米国はじめ情報を取り、高価な本は図書館に買ってもらってのお勉強でした。公開講座や大学での講義を通して、旧知在庫を整理、新知識を仕入、そしてこの歳で若者と触れ合うのは思いがけない楽しさでした。
DFで得たもう一つの喜びは、趣味の交流。美術同好会の会員は、初心者が多く、この道では大学の新入生の如し。技術一枚上の仲間は上級生待遇。そしてスケッチ、名作鑑賞、交友を重ねて遂に来年、銀座のど真ん中で展覧会という大目標ができました。未来志向、いつかはパリかニューヨークでのグループ展をと嘯いています。水野さん横井さん、夢をありがとう。DFは5年後、さらに面白いグループに成長すると確信しています。■
(DF会員・元丸紅・丸紅エッグ)
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2007/09/16 (No.13)
地方の地盤沈下
山田 重生
今夏も例年のように帰省した。実家で兄弟・甥・姪と語らい、友人の山荘では蕎麦打ちやザル碁を楽しんだ。昔から田舎には、都会に無い潤いや和らぎがある。長い間かけて蓄積された、精神的、物質的な豊かさのようなものだ。
ところが今回は参院選の争点にもなった「地方の地盤沈下」を随所で強く感じた。合併で市になったものの、嘗ては「うろたえ橋」と言われたほどの繁華街が文字通り「灯が消えて」いる。ようやく整えられた公共下水道処理施設に対し、ほとんどの農家が個人負担金を払えずに加入出来ないでいるとも聞く。また、雑草が人の背を越えるほどに生い茂った休耕田は見るに忍びないし、多くの農業主が老齢化して、後継者もいないといった話は日常茶飯事だ。
「地方の地盤沈下」は政治問題でもあるが、このままでは「市場の縮小」や「消費の減退」を招きかねず経済問題としても大きなテーマだ。解決のために「自治体の経営改革」、「農業の事業革新」などが必要とすれば、ディレクトフォースのメンバーの経験や知見が生かせる。「地方活性化」の研究・提言を行い、いずれかの自治体と連携して、課題解決に貢献出来れば素晴らしいと思う。■
(DF会員・元花王)
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2007/09/01 (No.12)
就任ご挨拶
田中 健一
このたび水野さんの後任をおおせつかりました。
DF歴は浅く、組織への貢献は皆無の自分には夢想だにしていなかった大役なので驚きましたが、生来軽い性格なのでこれも運命なのかもしれない、それもこんなすばらしい方々と一緒に仕事ができるとは途方もない幸運ではないかと勝手に解釈してお受けしてしまいました。水野さんが基盤を固められた明るく、活気に満ち風通しのよいこの組織を更に発展させるよう精一杯努力しますのでよろしくお願いします。腰も軽いのでなんでもお申し付けください。
なんでも現在65歳の方が80歳になるまでに、睡眠、食事、トイレなど生命維持のための時間を除いて10万時間あるそうです。小学校へ入って大学を卒業できるだけの時間ですから相当なものです。人生がもう一回できると言っても過言ではありません。ボーとしていても時は過ぎますが、それではあまりにももったいない。学校を全部不登校するのと同じです。
遊び、勉強、社会貢献のバランスがうまくとれたDFは、会員の人生を充実させる絶好の組織です。皆様にとことん活用願いたいですが、10万時間を考えれば、現状の基盤の上に更に相当の機能を積み上げて行かねば皆様に飽きられる可能性もあると思われます。これは皆様の声をひとつひとつ実現することによってのみ可能と思いますので、どしどしご提案くださるようお待ちします。
私共は先輩の始めた戦争でスッテンテンになった国に生まれ、無我夢中で働いて世界一の金持ち国を造りあげた実績を持つ世代です。自分では気づかないどえらいバイタリティを秘めているのかもしれませんし、少なくとも昭和30年から急速に進んだ長寿化のおかげで60歳で人生が終わることを前提とした社会の中、80歳まで生きていかざるを得ぬ環境を自力で開拓を義務づけられている面はあるでしょう。今少々ふらついている日本の活性化のために一働きしてもよいし、それ以上にこれから世界中が高齢化に直面していく中で、DF
が積極的な答えとして新しいモデルになれるよう大きく育てていきたいと思います。 ■
(ディレクトフォース代表理事 東レ・蝶理)
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2007/08/16 (No.11)
「教えることは、学ぶこと」
〜私のDFライフ〜
山下 光二
DFは不思議な魅力に溢れている組織と言えます。勉強会の後の懇親会では初対面の会員同士でも忽ち和やかな雰囲気で談笑に花が咲きます。これは日頃から会員が積極的に事業活動や同好会に参加しているからだと思います。企画から実行までのスピーディな展開は機動力に富み、かつて所属企業で蓄えたベテラン企業戦士たちの力量が十分に発揮されているからでしょう。
ところで私は、発起人の一人である普勝さんから本会を紹介され、「水野さんの面接に合格しないと参加できないよ」と言われながら門を叩き、入会したのは確か設立3ヶ月の頃でした。早速、拓殖大学の「産業と人間」シリーズの第1号派遣講師を務めました。よく「教えることは、学ぶこと」と言われますが、私自身DFの活動を通して学んだことは“自分たちの経験を社会に還元するのだ”という共通の理念とエネルギーでした。この情熱は設立5周年を迎えようとしている現在、着実に増加している会員数、充実してきた多くの事業活動に如実に反映されていると思います。この成果はひとえに代表幹事の水野さんの卓越した手腕のおかげであることは論を俟ちませんが、同時に代表の基本理念である「身の丈にあった」事業計画の実践を担ってこられた横井さんを始め事務局の皆さんのご努力の賜物と会員の一人として深く感謝いたします。
DFの活動は“2007年問題“に象徴されるとおり、正に時代の潮流に合致した事業ですが真価を問われるのはこれからの5年ではないでしょうか。私はこの時期にDF会員であることに大いなる意義と誇りを感じます。「若さとは心の有り様を言う…」の有名な詩を具現されておられる多くの会員の皆様と共に更に充実したDFライフを楽しみたいと思います。■
(DF会員・元全日空)
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2007/08/01 (No.10)
朝食担当の思わぬ効果
三木 延義
会社を退職したとき、妻との話し合いで朝食の調理を担当することになる。明日からやることもないし、定期の収入もないので致し方ないかとしぶしぶ引き受けた。しかし、これには思わぬ効果があった。毎朝、朝食を作るために6時過ぎには起床。おかげで一日の生活のリズムができる。おそらくこれがなければ、会社に行く義務がなくなったので、毎朝、ダラダラと惰眠をむさぼっていたに違いない。
また、調理に当たっては、同じような材料を使っても、ちょっとした味付けや料理の仕方を工夫して変化をつけるのが楽しみになった。お世辞でも妻や子どもにおいしいと言われると、はげみになるからおもしろい。
昔、ある禅坊主に「できることを喜びなさい」と言われたことがある。些細なことでも、なにかができることに感謝し、そこに喜びをみつけなさいということだと解釈している。朝食作りでもそのような発見があった。
DFでの役割分担も同じ。がんばらなくても良いが、なにかの役割を果たすことで、新しい人や物事に出会うことがある。ちょっと面倒かなと思ってもやってみるとおもしろい経験に出会えるに違いない。■
(ディレクトフォース会員・元ダイヤモンド社・現そぞろ工房)
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2007/07/16 (No.9)
モネ大回顧展
原田 忠和
DF美術同好会の行事で、今年オープンした国立新美術館にモネを見に行った。小生も見て心が休まるところから好きな画家の一人だが、日本人にはモネの人気が高く嘗てブリヂストン美術館で特別展をやった時も、連日入館待ちの長蛇の列だったので覚悟をして行ったが20分待ちでまあまあだった。
 オルセー美術館をはじめ各所から集められた絵画が100点ほどで幅広いジャンルの展示。オルセーから来ていた「かささぎ」は題材、色調、雰囲気などモネというより日本画の印象。色を混ぜ合わせるのではなく点描に近い形?でのモネの描写。「モントルグィユ街、1878年パリ万博の祝祭」などはややピントの合わないバリラックスの老眼鏡で鑑賞するのが最高だと感じた。
最後に睡蓮の作品の数々の展示。現役の頃パリ出張の時チャンスがあればよく訪れていたオランジェリー美術館。朝一番に行き、途中に飾ってあるルノアール他には目もくれず一目散に「睡蓮」の部屋に行き、ぐるりと部屋を取り巻く睡蓮の絵を部屋の中央から独り占めしていた記憶があまりに強烈だったのかちょっと期待はずれだったのは贅沢か。
もし一点貰えるとしたらやっぱり「日傘の女性」かな、などと勝手なことを思いながら会場を後にした。 ■
(ディレクトフォース会員・元ブリヂストン)
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2007/07/01 (No.8)
記念行事を決めました!
(DF設立5周年)
水野 勝
時の流れが速いものだ、とよく言われる。5年前の2002年7月、あなたは何をしていたかと問われて、すぐに答えられる人はあまりいない。小生も然り。スケジュール表をひっくり返してみてみると、現役最後の顧問職を解かれ、開放感に満ちてイタリアを旅行していたようだ。
一方で、ディレクトフォースを立ち上げるための仕込み段階の最中にあった。任意団体か、法人か?はたまたNPOか、株式会社か?ビジネスモデルは立てられるのか?この段階ではまだ「中間法人」のアイデアには至っておらず、世話人の皆さん達とアレコレ頭をひねっていた。関係者の合意に至る「中間法人」構想は、その1.5ヶ月後に出てきた。その意味で痛感するのは、『5年の歳月を掛ければ、結構やれるもんだ』ということで、設立以来、忍耐の3段階「3日、3月、3年」は疾うに越えていたのだ。
さて、『ディレクトフォース設立5周年記念行事』をほぼ決めました。以前にも勉強会などで断片的にお話しましたが、概略以下の通りです。
- 5周年記念総会8月23日(木)於パレスホテル(ローズの間)
16:30記念講演 (スピーカー:後日ご紹介)
18:00記念パーティ (会員は無料招待です)
- 5周年記念植樹3本の緋寒桜をパレスサイドビル斜め前、お濠端に植樹します。
『ディレクトフォース』の名札つき。(千代田区と合意)
- 『さくら基金』(千代田区主催)に協力ディレクトフォースの皆さんに改めて参加を呼びかけます。集まった寄付金総額と同額をマッチングギフトとしてディレクトフォースが拠出し千代田区に献金予定。因みに“千代田区の樹”は『さくら』です。
- 環境ボランティア日本は世界でも有数の森林国ですが、森林資源の保護育成に大問題を抱えています。最大のポイントは「間伐の不実行」。
10月中旬、1泊2日にて国有林の整備・間伐に参加。都心からバスで出掛けます。群馬県草津近辺。(林野庁と合意)
- アカデミーチームによる記念出版過去5年間の大学等での講義の中から選別・整備し出版します。年内完成を目途。
- 発起人・顧問会発起人・顧問の皆様には、常々当ディレクトフォースを見守り随時助言を頂き、また時に講義・講演もお引き受け頂きました。事務局にて、活動のご報告を兼ねて、謝恩会を開催します。
会員各位のご理解とご参加をお願いいたします。■
(ディレクトフォース代表理事)
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2007/06/16 (No.7)
林住期を生きる
木村 冨士雄
最近、五木寛之氏の「林住期」を読んだ。古代インドでは人生を学生期、家住期、林住期、遊行期という四つの住期に分けてその過ごし方を説いている。五木氏は「林住期」を「人生でもっとも輝かしい時」と著述。個人差があるものの、50歳から75歳位の期間を指し、「心の中に求めていた生き方を自分のために費やす時期」であるとのこと。新しい目標に向かってジャンプする、すなわち「生きるために生きる」ことであるとも書かれている。
■ DFは「林住期における交流サロン」
私はディレクトフォースという「林住期」を過ごすのに最適の場を見出した。
これまで接点のなかった異業種出身の多くの方々に接することができ、折に触れ刺激をいただいている。かけがえのない大切な時期を、DFの場を通じて「見はてぬ夢」に向かって明るく、楽しくそして「元気に生きていること」に感謝しながら過ごそうと思っている。
■DFでの新たな挑戦「蕎麦打ち」
私は無類の蕎麦好き。蕎麦打ちをしてみたいと思っていたとき、蕎麦打ち同好会の世話役をやらないかと背中を押されお引き受けした。「継続は力なり」1年半も経つと一応基本動作を覚えた。出来具合は食材、温度、湿度、水量、コネ方、切り方、ゆで具合など様々な要因に左右されるが、それが蕎麦打ち奥の深さに通じる。同好会のテーマは「打つ、食べる、もてなす」。昨年12月、蕎麦打ちのボランティア活動で初めて他人様に食べていただき感謝される貴重な経験をした。
■ DFでの更なる挑戦
「環境問題研究会の立ち上げ」
「かけがえのない地球を次世代へ One Earth One Future」をテーマに有識者の仲間と共にDF環境問題研究会を立ち上げた。環境問題は進化する社会の負の課題であり、環境保護のルールや監視体制が曖昧のまま今日に至っている。この難しさは地球規模の広がりをもつことと、国、企業、各種団体、市民が一体となって考え、地球環境を破壊する全てのことを基から断ち切らなければならないことにある。有識者の方のお知恵をお借りしながら、会員の皆様と地球環境保護の共通認識を深め、DFとして次世代に伝えられる活動を模索・実行できればと思っている。この一環として、6月11日に研究会発足記念セミナーとして、嶋矢志郎氏に「環境問題とは何か
ー 地球と人類と文明と」というテーマで講演していただいた。7月23日の勉強会では、石館陸男氏に「世界及び日本のエネルギーの現状と将来……新エネルギーへの挑戦」を講演していただく予定。
地球上の一市民として、また人生の経験者「林住期に生きる者」として、地球保護の先導役を担えればと思っている。夢はDFの考える環境規定:グリーンコードとなるものを創り、会員の皆様が良き「環境ウオッチャー」になられることを念願している。 ■
(ディレクトフォース会員・元日本ユニシス)
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2007/06/01(No.6)
円安に思うこと
今井 智之
円が対ドル、ユーロ、ポンドで弱くなって久しいが、欧米からの反発が少ないのは不思議でならなかった。少しでも円高に向かうと株価が下がる、円安でも円買が進むわけでもなさそうだ。諸外国は、まるで円安を維持して日本経済を支えているようにも思えるし、もはや日本は脅威と捉えていないのだろうかと、私は近頃つくづく思う。振返ってみると、失われた10年、いや15年の間、米国は国難を抱えながらも成長を続け、EU諸国は目覚しい発展を遂げ、好況を維持してきた。彼等は、今、日本がようやく成長しはじめて2.0〜2.5%の成長率を維持しようとしても、そのレベルでは失われた国力を回復するとか、以前のように円高に転じても日本の輸出を減少させない強い技術力・競争力があるとは、最早考えていないのであろう。国歌や国旗の問題を今更論議したり、教育の強化は不適切との論議がまかり通ったり、国家防衛と国際協力の是非を永遠に議論していること、はたまた低俗なテレビ報道や番組を見ていたら、この国の将来を脅威と思うはずもなかろう。グローバル思考に立って、今や、挙国一致して国力の再生に努めるべきだろう。これは、円安が続くと海外旅行がしにくくなる年金受給者の苦言ではない。 ■
(ディレクトフォース会員・元シェルジャパン)
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2007/05/16(No.5)
歴史認識
松村 洋
DFからの委嘱で女子大学の「国際コミュニケーション学部」の講師を引き受けて3年になる。商社での現場体験から、外国、とりわけ太平洋戦争で被害を蒙った近隣諸国とのコミュニケーションを深めようとする場合、相手が抱いている「日本(人)像」と、それがどの様にして形作られて来ているのかを認識しておく努力が大切だと言うことを軸に話している。
例えば中国、70年前の南京(虐殺)事件、中国の中学生教科書では、日本軍の残虐行為を写真入りで6頁に亘り詳述し、「決して忘れてはならない」と念を押している。一方、日本の教科書では2−3行で簡単に触れ、その上で何故か「此の事は国民は知らされていなかった」と言う責任逃れのおまけが付記されている。日本の植民地支配時代の幾多の悲劇の事例を並べる韓国の教科書、日本の真珠湾攻撃を機に、国民が一斉に愛国者になる様を感動的に描く米国のケース等々、既に我々が昔の事と思いたい歴史の事実認識の彼我間の落差はため息が出る程大きい。
夫々の国の基礎教科書の現場から生まれてきた「日本(人)像」は時間がたてば薄れて行くものでも、又,日中首脳再開で、反日の氷が溶け去ると言う程都合よく変わるものでもない。先ず、「歴史認識の差」の現実を一旦受け止めた上で、将来に向けての建設的な対話の場での新しい「日本(人)像」作りの努力が望まれる。
学生には、加害者は忘れる、しかし、被害を受けた者は忘れないという言葉がある。ましてやあなた達が、かつて、日本が加害者であった(少なくとも、そう思われている)国々に囲まれていると言うことすら知らずに国際社会に出て行けば、思わぬ処で、手痛いしっぺ返しを受ける確率は極めて高いことを強く訴えている。 ■
(ディレクトフォース会員・元丸紅)
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2007/05/01(No.4)
藤井 篤
早いものでDFにお世話になり始めてから足掛け6年になりました。現在は学校経営に携わっておりますが、DF入会当初より大学や企業で講義・講演をご紹介戴いたことが、今の仕事に大変役立っており、この紙面をお借りし、関係各位の皆様に御礼申し上げます。
最近、企業や個人の不祥事や事件が多く報道されておりますが、立場上教育のあり方を改めて考えさせられております。大学入試までを知識偏重の競争の世界で過ごすことを余儀なくされた子供たちに、大学教育でなにを教えるべきなのか、又、中高教育で本来何が欠けているのか、大きな課題と捉えております。
私が現在席を置いておりますのは体育会系の幼稚園から大学ですが、スポーツを通して躾や倫理観や国際感覚等大局的に見た人間教育が出来る環境にあり、又、それが差異化した魅力ある学校づくりにも繋がると考えております。これからもDF諸先輩のご指導もいただきながら、日本の教育問題に取り組んで行きたいと思っております。■
(ディレクトフォース会員・元日産自動車)
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2007/04/16(No.3)
私流の評価
北野 富士夫
現役時代に海外駐在していたときのこと、とりわけ絵画鑑賞の趣味があった訳でもない私が現地の露店でなんとなく気に入った絵を購入したことがありました。日ごろ客観的評価の公正さや合理性を求めていたので、これとはほど遠い感覚であると思わず苦笑したものです。
組織内の評価についていえば、人事評価に悲喜こもごもの経験をお持ちの方もいらっしやるでしょう。私は当時はもちろん今でも人事評価は評価する側もされる側も合理的、客観的判断を必要とすると信じています。日本企業でこれが確立されない要因として、グローバル化する日本社会のグランドデザインの脆弱さ、曖昧さ、本音と建前、そして村社会があげられるのではないでしょうか。機能性追求と同時に個人に対する公正な評価を併せ持った組織がますますこれからの企業に求められるでしょう。
そして市民レベルで考えると、今後身近なテーマになっていくであろう裁判員制度は、和を重視し集団的曖昧さの中で生きてきた日本人にとって、合理的、客観性のある評価ができるかを試すハードルとなるのではないでしょうか。これからはデジタルな合理性とアナログ的な
Face to Face におけるコミュニケーションとの折り合いを上手につけることが社会と個人に幸せをもたらしてくれるのではないかと感じています。■
(ディレクトフォース会員・元ウシオ電機)
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2007/04/01(No.2)
私とDFライフ
梅津 善徳
世の人は、「仕組み」を「創る人」、「集う人」、「関わり無き人」の三分類の何れかに属している。私は「集う人」で、「創る人」達の作品の恩恵に預かるのを常として来た。
ディレクトフォース(DF)の場合もそうである。私のDFライフ(DFL)は主として三つの楽しみ方から成る。
@DF総会・勉強会、工場技術グループの会合、囲碁同好会、ゴルフ大会等々の集まりには時間の許す限り参加している。何れの会合も懇親会が後に控えておりDFLの楽しみを茫洋とした奥深いものにしている。
ADFLにはコンサルタントの世界もある。和歌山の某工場に月1回出向くようになって4年目である。指導すると言ったものではなく、彼等の仕事振りの中で好いところを引き出すことに徹している。彼等の成長の軌跡が見えて来るのも嬉しいものである。
B大学や団体等での講義・講演もある。準備に骨が折れるが、若い人達の考え方に接することが出来る事も贅沢な楽しみの一つだ。
何れにせよ、DFLの魅力は異分野・異文化との交流を通して内なるロゴスとパトスをくすぐられることだ。触発されると言ってもよい。云い忘れていたが、第四の人も存在しなければならない。「仕組み」を「発展させる人」である。DFLを楽しむ人はDFの発展を単に願うだけでなく、DFの発展に自分は何が出来るかが問われることになるだろう。■
(DF会員・元新日本製鉄)
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2007/03/16 (No.1)
代表からのメッセージ
中間法人ディレクトフォース
代表理事 水野 勝
このたびホームページが生まれかわりました。
何よりも、ディレクトフォースの活動を出来るだけ、リアルタイムに且つ、分かりやすくお知らせしていこうと思っています。
また、会員の皆さんの声、およびご協力を頂きやすくなるように工夫したつもりです。本コラムにも次々に会員の皆さんに登場して頂こうと考えています。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
最近の活動の中から感じたことをひとつ:
『簿価』 『取得原価』 よりも『市場交換価値』 『現在価値』
当ディレクトフォース会員の皆さんは、過去に輝かしい実績を夫々の企業や官庁で残してこられた。常々、懇親会や勉強会で【会員交流】が即ち【異業種交流】であり【異文化交流】であると実感し、素晴らしい会員に恵まれたものだと痛感している。
一昨年から始めた小勉強会の一つ、『監査役部会』は基礎編、応用編、特定テーマ研究編の三つに分かれて合計120名ほどが、監査役のあるべき姿を研究しつつ、結局のところ“経営のあるべき姿”の研究をされています。
居眠りなどもせず講義や討論に目を輝かせて参加されている姿は、これもまた何と素晴らしいことか。
考えてみれば、会員諸氏は、コンサルティング業務をお引き受けしたり、社外役員、社外監査役に招かれたり場合に、何がものをいうかが判かっているからだと思う。
即ち、過去の地位や経験、実績そのものが、何の役に立つというのではなく、“今後その場に当事者として居合わせたときに、何が出来るか”を、常に自問しているからなのであろう。企業を取り巻く環境は年々歳々進化しており、今までの経験だけでは、これからの事態に対応できぬ場面があると本能的に判かっているからだと思う。
お互い謙虚な気持ちを持ち続け、NPV(純粋現在価値)を高める努力を続けていきたいものだ。■
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