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2012/10/01(No134)

「ビジネスマネジメント研究所を起業して」

   シェアードサービスの推進をめざす   

大西 光

筆者経営の効率化を目指し、複数の組織で共通的に処理されている間接部門業務を個々の組織から切り離して集中・統合することをシェアードサービス(Shared Service)という。業務を集約すればコスト削減や生産性の向上を図れるとともに、専門化することによりサービス向上も期待できることから、このシェアードサービスを採用している企業は随分と多い。

私は、経理部門においてこのシェアードサービスに長年携わってきた経験を生かして、少しでも社会にお役立ちしたいという思いから、シェアードサービス推進を目指す企業に対しての支援、経営コンサル並びにビジネスパーソンの育成を事業目的として、今年ビジネスマネジメント研究所を起業した。

これにともない中国(大連)とベトナムを視察したことを踏まえ、私なりの視点でSS(シェアードサービス)とBPO(業務のアウトソーシング)について述べたいと思う。

1.シェアードサービスとアウトソーシング ( Business Process Outsourcing )

グループ会社の間接部門業務をシェアードするか、各社ごとの間接部門業務を夫々アウトソーシングするかあるいは両方を並行して行うことが可能である。企業により業務プロセスの違いによって選択できると思う。

「経理、人事、ITなど多くの業務が中国に流れている」という記事を読み、大連のBPOの現状を見たくて昨年大連へ出かけた。正しく事務工場である。300人程の、20歳過ぎのパーソンが何列かに並んで伝票入力業務を行っている。2010年時点で人事、経理、コールセンターなどの業務プロセス全体を外部委託するBPOの市場は、8,202億円にまで拡大したそうである。一方、友人に聞くと、ポンプ設計図の手書文書を電子化する業務を大連にBPOしているが、中国の人件費が高騰しているので日中の給与差も年々縮小しているという。これまではBPOイコール大連であったが、次は安価な労働力を求めて中国内陸部(西安)にいくか、あるいはベトナムに進む可能性が大であると思う。

2.ベトナムへのBPOの可能性

ホーチミン、ダナン、ハノイを5日かけてBPO4社を視察させて頂いた。各社を訪問して気づいたのは、ベトナム人は若くて勤勉だということ。ベトナムの人口ピラミッドを見ると、15〜19歳、20〜24歳のゾーンが最も多く、また30歳未満の人口が総人口の半分以上を占めている。国民の平均年齢は27.4歳で、日本が44.6歳なのに比べれば人口構成から見た経済の継続的成長の可能性は明らかである。

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大連の203景区にて
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ベトナム企業を訪問
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ダナン市の企業における会議風景

国民1人当たり名目GDPでみたとき2010年は117万4千ドルで、日本の4282万ドルに対してベトナムは日本の約36分の1 。ちなみに中国は438万ドル、インドが127万ドルである。ベトナムの実質経済成長率は2010年が6.78%で、東南アジア各国の中ではリーマンショックの影響が少なく、最も高成長を続けている国の一つで今後の安定した成長が見込まれている。国民性として年長者を敬い家族主義的であり、「おしん」の映画を見て共感を覚えたらしく日本人が大好きという。

ベトナムへのBPOの可能性であるが、確かに中国に比べれば労働力が安価であるし、国民感情からして政治リスクもない。親日で勤勉、努力家の人たちであるので委託する企業が求める技術と業務品質が確保されれば、日本からのBPO委託企業は今後増えていくものと推測される。

おおにし ひかる ディレクトフォース会員 元アサヒビール、アサヒマネジメントサービス