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2012/09/16(No133)

「自転車と健康」

服部 毅

筆者最近は健康志向の高まりで自転車が見直されてきました。そこで自転車と健康についてお話したいと思います。

1.自転車の歴史

自転車はドイツで発明され、その機能や構造の発展さらには自転車文化の育成もヨーロッパが世界をリードしてきました。発明された1817年当時はフレームに跨り、足で地面を蹴って進む足蹴り式でした。その後、車軸に回転力を直接伝えるペダルがつけられ、1879年に現在のチェーン駆動自転車が開発されました。

自転車の保有台数は全世界で10億台、1位は中国の4.1億台、日本は7位で9千万台。普及率では自転車文化先進国の欧州が1人1台前後、日本は1.5人に1台、中国は3.2人に1台です。最近はスポーツ自転車が増えてきました。電動アシスト自転車も40万台位販売されています。

2.自転車と健康

運動による健康作りが叫ばれるようになった背景には、「三大生活習慣病」の要因である食生活の欧米化による摂取エネルギーの増加、特に脂質があります。いろいろな運動の中で自転車(サイクリング)の効用は、運動強度が中庸で糖分と脂肪両方の代謝が進む「有酸素運動」であり、エネルギー消費と共に心肺能力の向上です。継続的な有酸素運動は血液中のコレステロール減少、血糖値低下など血液の改善と同時に免疫力を向上させるので、日本人の死亡原因1位のガンを含め、2位の心疾患と3位の脳血管疾患などのリスク減少が期待できます。

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ハワイ マウイ島
ハレアカラ・ダウンヒル バイクツアーにて

サイクリングは、ジョギングに比べて膝や足首への衝撃がなく、体力に合わせた運動が出来るという特徴があります。ジョギング着地時の膝への衝撃は体重の2~3倍と大きな負担がかかります。サイクリングはペダルを踏み込むとき前太ももの筋(大腿四頭筋)が短縮する収縮運動(短縮性収縮)なのに対して、ジョギングは着地時に前太ももの筋が伸張する収縮運動(伸張性収縮)です。サイクリングとジョギングでは使用する筋肉の動きが逆方向で、サイクリングは筋肉へのダメージが少ない動きになっています。ジョギングでは筋が引っ張られるため、細胞破壊が起き筋肉痛が起きます。この筋肉へのダメージの差は、代表的自転車レース、ツールドフランスでは3週間ほぼ毎日200Kmh走れるのに対し、マラソン選手は筋肉ダメージ回復のため年に3回程度のレースしかできないことが証明しています。

サイクリングは、体重をサドルで支えるので膝への負担が少なく肥満体にも適した運動と言えます。体力レベルに合わせた運動が可能です。健康に役立つ自転車の乗り方は、心拍数が110〜130拍/分程度の強度で、30分〜60分の長さで週に3回くらいの頻度が理想的です。サイクリングは水泳やジョギングに較べてスピード感があり何より風を切る爽快感があります。軽量フレームに多段ギア装着のスポーツバイクで、家族や仲間とサイクリングをエンジョイされることをお勧めいたします。

はっとり たけし ディレクトフォース会員 元ブリヂストン、ブリヂストンサイクル