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2012/09/01(No132)

「オペラ、シェイクスピア、そして歌舞伎、文楽」

中村 晴一

筆者最近いそいそと国立能楽堂などに通って能や狂言鑑賞を楽しんでいる。長い海外生活を終えて帰国してから歌舞伎や文楽鑑賞に入れ込んでいたので、能や狂言はまだ日が浅く全くの初歩だが結構楽しい。

歌舞伎は在英時にジャパン・フェスティバルで観た玉三郎の「鷺娘」や勘三郎との「鳴神」、文楽は玉男と簔助の「曽根崎心中」に触発され、少なからず影響を受けた。このことから日本の古典芸能を通して日本の歴史と伝統に触れつつ、もう一度日本文化を勉強し直したいという思いがあって歌舞伎と文楽に通い続けている。

私の本来の趣味はクラシック音楽の鑑賞で、かつてはベルリン・フィルやウィーン・フィル、バイロイト・オペラやイタリア・オペラなど著名な音楽家が来日すると、無理をしてでも精力的に出かけていた。

フィラデルフィアへMBA留学した時には、これ幸いと先ずフィラデルフィア管弦楽団のシーズンメンバー券を取得してコンサートに通いつめ、メトロポリタン・オペラやニューヨーク・フィルを聞きたくて、暇を見ては深夜便を利用してニューヨークまで出かけていた。

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ロイヤル・オペラ 
リゴレット
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グローブ座 
シェイクスピア「冬物語」
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ルネ・フレミング*から
著書にサインを貰う

その後ヨーロッパへ赴任して、まずロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団とロンドン交響楽団、そしてロイヤル・オペラのシーズンメンバー券を夫々取得した。幸いロンドンはクラシック音楽の世界屈指の市場であり、超一流の音楽家の来訪が次から次へと目白押しでファン冥利に尽きた。加えてEU内での出張や旅行が多かったので、ウィーン、ミラノ、ベルリン等々と移動すると、どうしてもオペラハウスやコンサート・ホールを素通りできない。いくら小遣いがあっても足りなかった。

それにロンドンでは、ついにシェイクスピアの魅力に取り付かれてしまった。 ロンドンでのRSC*やRNT*の公演だけでは満足できずに、シェイクスピアの故郷ストラトフォード・アポン・エイヴォンのRSC大劇場やスワン劇場へ車を飛ばし続けた。

ほかの皆さんと違ってゴルフには見向きもせず、好きだというだけでパーフォーマンス・アート鑑賞に明け暮れてきた。勿論ジャンルによって鑑賞法は異なってはいるが、長い欧米やブラジル生活で、オペラやクラシック音楽そしてシェイクスピア戯曲など西洋文化の楽しみ方や奥深さを学ぶことができたことは幸せだったと思っている。

同じように、日本固有の伝統芸能を観賞することで日本の文化を再認識しようと歌舞伎や文楽だけでなく、これまで触れることがなかった能や狂言の世界にまで足を踏み込み始めている。

なかむらはるかず ディレクトフォース会員 元大林組、大林道路 現N&Y経営研究所社長

編集註:中村さんのブログ「熟年の文化徒然雑記帳」を併せご覧ください。

*ルネ・フレミング(1959年2月14日~)は、アメリカ合衆国のソプラノ歌手。当代随一のソプラノと評される

*RSC(ロイヤルシェイクスピア劇団) *RNT(ロイヤル・ナショナル・シアター)