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2012/07/01(No128)

「ロンドンでの小さな発見」

石本 一詔

筆者2011年10月下旬に、久方ぶりにロンドンに1週間ほど滞在して、最近流行りの「街歩き」をした時に見聞したことを2点。

1つは、地下鉄のこと。美術館、劇場はじめ骨董市などへの市内の移動は、便利な地下鉄(Tube)をよく利用したが、現地でもスイカ、パスモと同じ仕組みのオイスター(Oyster)カードが導入されていた。最初は、不慣れなこともあり現金で切符を買おうと運賃を見ると、なんとカード支払いに比べて2倍も高い、例えば、市内のZone1(東京でいえば山手線内)では、現金が4ポンド、オイスターが1.9ポンド、ということが分かり、否応なく即オイスターカードを買ったが、やはり利用客のほとんどがカードを使っているようであった。我が国の地下鉄料金は、運賃の支払い手段による差異は原則ないはずである。利用者にとっては、こちらの料金システムの方がより親切と言えようが、経営者にとっては、恐らくTubeの方がカード導入の合理化効果を徹底して実現し易く、それに伴う利用者の反発に対する経営者自身の覚悟も出来ているのではないかと思った次第である。

OysterCard
オイスターカードとタッチ部分
2つ目は、税金のこと。最近は、外国に旅行してもあまり買うものもなく、少しの土産を免税店等で買う程度であったが、昨年初めて孫娘が誕生したため、市内の子供服店をいくつか物色して洋服を買い、免税の手続きをお願いしたところ、これには税金はかかっていないと言う。確かに、英国のVATは選択的付加価値税(標準税率20%)で、食料品を0%にするなど生活必需品等には軽減税率を適用していることは承知していたが、子供用衣類(14歳以下)も非課税であることについては不勉強であった。目下、我が国では消費税の引き上げ議論が活発に行われているが、喫緊の課題である少子高齢化の是正を図っていくためには、単なる歳出面からのバラまきでなく、こうした歳入面からのきめ細かい施策、すなわち子育てのための税制面での配慮も一考に値するのではないか。

いしもとかずのり ディレクトフォース会員 元日本銀行、名古屋証券取引所、鴻池組