技術部会トピックス

リスクセンス研究会の成果を中田邦臣さんが講演

2017年9月20日
中田 邦臣

日比谷図書文化館が2011年11月から開講している 日比谷 カレッジ (HIBIYA COLLEGE)で、9月11日(月)会員の中田邦臣さん(写真)が、『 Safety First「安全第一」に学ぶ〜内田嘉吉の提言から現代の産業リスク管理を考える〜』と題して講演を行いました。

この講演会は、内田嘉吉(逓信次官)が Safety First を安全第一と訳し、日本で「 安全第一活動 」を開始(1917年)して101年目にあたることに因んで日比谷 カレッジ が主催したものです。

中田さんは同文化館のセミナールームでリスクセンスに関する勉強会を開催していた際に、4Fの特別研究室の内田嘉吉文庫をメンバーと見学し、内田嘉吉の著書「安全第一」を知ったことが切っ掛けで、その現代語訳を出版しています( 内田嘉吉「安全第一」を読む 、大空社、2013年10月)。

また、このことが、朝日新聞(2013年10月19日夕刊)に取り上げられ、それを読んだ研究者と一緒になって、昨年9月、「産業安全活動 2つの源流」(化学工業日報社)も出版しています(詳しくは こちら )。

中田さんの研究に参加した小田川雅朗さんの曽祖父 小田川全之は、我が国の産業安全活動の先駆者の1人で、足尾銅山の鉱業所長時代に、Safety First を「 安全専一 ( あんぜんせんいつ ) 」と訳して安全活動を推進し(1912年)、安全心得書「安全専一」を所員に配布(1915年)したことで知られています。

このような活動が、図書館を活用する活動の1つとして高く評価され、今回、日比谷図書館での講演に結び付いたものです。

安全活動の大事なことは、すべて100年前に在った ”との研究成果を基に、中田さんの講演内容は、『リスク共生社会の一員としての企業は、CSR活動の中にリスクセンス向上活動を織り込むこと』が、これからの産業安全活動であることを提案したものでした。

講演後の意見交換では、社会としては「安全第一」、企業としては「安全専一」の視点での活動の具体的な進め方について、活発な意見交換がありました。

なお、 日比谷 カレッジ では、図書に親しむことを推奨するため、蔵書の中から、幅広い分野の講演を行っています。

(文責:小林)