2024年3月22日
- 開催日
- 2024年3月13日(水)14:30~16:35
- 場所
- スタジオ751 + Zoom
- 講演
-
山本明男会員(977)
「国産木材を活用した中高層木造建築普及への挑戦」 - 参加者
- 29名
趣旨
今回は一級建築士として鹿島建設で活躍され、海外でご経験の豊富な山本さんから、高層建築への利用普及も拡大している木材建築の現状につきお話を頂いた。
森林資源から始まり、集成板として高度な利用に至る過程や、日本の置かれた現状など日頃なじみのない課題で興味深い内容であった。
資料
質疑
- Q
- 木造は昔からあるが、木造の高層ができなかったのは何故か
- A
-
今までは木造建築に法規制で縛りがあり、高層はできなかったが、近年の改定で可能になった
しかし最近まで実際に作りたいと手を挙げる人がいなかった - Q
- コストが高いのに作るということは、SDGsがらみなのか
- A
-
材料などのコストは高いが、木材は軽量で基礎のコストを下げることができる
また、工期が短くなり高層ではより安くなる 特に工期短縮による経費削減はメリットが大きい
首都圏での商業施設など、工期の短いことが魅力になる
総合的に見合えば良い - Q
- キーとなるのはCLT集成材と思うが、部材の条件はどうなっているのか 標準化はされるのか
- A
-
CLTとして本来は国産材を使いたい 日本は杉が多いので杉の使いこなしが必要
米国で開発された2×4のような標準化はCLTでは難しい
建築物は個別に異なる設計で、サイズなど一件ごとに異なる長さや太さが求められる 標準部材を作ってもこのようなニーズに対応した在庫を持つことは困難 - Q
- 大手ゼネコン各社がそれぞれ独自に開発を進めているようだが、纏められないのか
- A
-
互いにパテントなどがあり、いまは差別化することで競っている
将来は標準化されるかもしれない そうすれば中堅建設会社も施工可能になる - Q
- フィンランドの会社でフィンカーというログハウスのメーカーが、日本でのログハウスの組み立て支援依頼がある 日本の木材は使えないのか 日本の木材は伐採にコストがかかる 道路から作る必要がある
- A
-
最近ドローンを使って森林の木の成長具合を地図化すること可能になっており、どの木材を伐採するのが良いのか印をつけることもできるようになっており、今後普及すると良い
フィンランドは平坦な土地で伐採しやすく、アクセスも容易 - Q
- TVで福島のヒノキを伐採の重機で枝払いから切断までやり、さらに板に加工しCLTにして関西万博のリングに使うというニュースを見た
- A
- 使えるまでの乾燥などを考慮した大量の木材利活用計画をどうするのかが課題
- Q
- 日本は森林の成長と木材使用量はほぼ同じだが、木材の必要量に対して、日本は30%位しか使っていないという、成長の残りはどうなるのか
- A
- 日本の森林量のトータルは増えている 日本の森林は斜面が多い 切り出すことを考えないで植林されてきた 林道がない 土砂災害で放置された木材が台風などで倒れ流される
- Q
- CLTの水に対する耐性はどうなのか
- A
-
通常は問題ない 基本的には屋内使用 外部で使うウッドデッキなどは別
関西万博のリングは後でばらして再利用 - Q
- CLTは圧縮だけか 接着剤を使うのか
- A
- 接着剤を使って圧縮する
- Q
- 3時間耐火の根拠は何か
- A
- 建物の高さや大きさに応じて、火災で建物が倒壊しないように、建築基準法で規定されており、高層建築物には一部3時間耐火が適用される
- Q
- 屋久島町役場での事例はCLTか
- A
- 集成材と言っても色々あり、CLTも含まれる 無垢もあれば、柱・梁などの集成材もある
以上(
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