環境部会トピックス

2024年度専修大学SDGs・CN講義、第3回講義実施

撮影:保坂 洋
2024年6月17日

環境部会の環境教育分科会では、複数の大学で環境に関する講義を行っている。広く環境に関しての社会課題を分科会で話し合い、大学からの要請に合わせてメンバーが講師として、社会に出てゆく学生に、現状認識・把握や企業での実体験をもとに課題解決方法など分かりやすく教える主旨である。

5月31日、専修大学SDGs・CN連続講義の第3回目を行った。テーマは「進化する未来都市 川崎:SDGsの模範例と課題」。きっかけになったのは、DF観光立国研究会が発行した「日本再発見紀行 第2集」で平尾光司氏が「環境先進都市「川崎」の今 お大師様と産業観光と生田緑地」を書いたことである。

日本の代表的な工業都市である川崎市は、工場から排出する排気ガスで洗濯物も干せない状態であった。そのため自治体が率先して環境の改善に努め、企業、市民の協力と相まって、川の水や大気が数年間できれいになった。プラステックごみの資源化や水素プロジェクトの推進等、将来を見据えたプログラムも着々と進められた。

日和

しかし、一方では、日本全体の工業生産高が競争力を失い下降線をたどっているのと同様に、川崎市の工業生産高は1985年をピークに下降線を描く様になった。環境は改善したが、肝腎の工業生産高が落ち込むという大きな課題である。

いすゞ自動車が移転した跡地は「キングスカイフロント」という名称の大規模な科学の研究・開発拠点となり、ぼつぼつ成果が見える時期になった。2023年9月に廃炉となったJFEの製鉄所跡地は膨大な面積を占めており、跡地利用の構想が完成するのに恐らく数十年を要するとみられる。

いずれにしても、日本が抱える基本的な課題を解決すべく川崎市が走っていることを認識して、一緒に考えようという講義の主旨であり、学生は熱心に聞いてくれた。今回の講義は川崎市の職員とのオムニバス制であったが、情報提供と問題提起もスムーズに運んだ。学生からの前向きな感想を期待したい。

以上(横井 時久