
「なにがきみのしあわせ なにをしてよろこぶ
わからないままおわる そんなのはいやだ!」
『アンパンマンのマーチ』の歌詞の一節です。聞いたことのない日本人はいないと思います。子どもに絶大な人気があるアンパンマン。皆さんのお子さんやお孫さんも大好きだと思います。この歌詞はアニメの原作となる絵本の作者のやなせたかしさんが作詞しています。歌詞には作者の戦争体験での思いが込められていることは、ご存知の方もいると思います。
私は、この歳で、まだかけ出しのキャリアコンサルタントなのですが、先日キャリアコンサルタントの仲間たちと世田谷区の小学校にキャリア教育に伺った際に、この歌詞を引用する機会がありました。
私たちキャリコン仲間は、キャリアを通しての働く人たちの「心理的成功」がキャリアゴールだとし、そのためのキャリア形成の2つの鍵が、自分を知り自分らしくある「アイデンティティ」と環境の変化に適合していく「アダプタビリティ」という、個人と社会(組織)の関係性の中でキャリアは構築されていくという関係性理論をベースとした考え方で、キャリアコンサルや研修をしているのですが、その「アイデンティ」を語るのに、このアンパンマンのマーチの一節が、小学生の理解のために有効なのです。
小学生のキャリア教育では「アダプタビリティ」より「アイデンティ」がメインのテーマとなることが多くなります。「アイデンティ」は自己の欲求や動機、価値観、興味、能力などの明確な自己イメージや自己認識があり、自分らしくあることと捉えられます。『アンパンマンのマーチ』の歌詞では、キャリアゴールである君にとっての『幸せ』とは何かを問いかけるとともに、そのキャリアゴールに向けて更に具体的なアプローチをするために、アイデンティである『喜び』を感じることは何かを問いかけています。更に、『喜び』については、『何をして』ということから、人から与えられるものではなく主体性が求めているのです。最近のキャリア教育で重要視されている「自律的キャリア」です。
そして、最後に『きみ』に対して『わからないまま終わる そんなのはいやだ!』と目指すキャリアゴールに向けて一歩踏み出す行動を促しているのです。
小学生にはそんな難解な話はしませんが、先ほどの小学校でのキャリア教育での最後の一コマ。
「大人になったらどんな仕事をしたいですか?」「はい。はい。はい」といろんな職業が飛び交ってくる。「なんで○○になりたいの?」「△△だから。」
「先生たちも小学校の時、色んなやりたい仕事がありました。でもほとんどみんなが今の仕事は小学生の時やりたかった仕事とは違います」「でも先生たちは全員が仕事を楽しそうにしているって話をしてくれたよね」
キャリコン仲間は、本業をバリバリしながら副業でキャリアコンサルタントをしている人や、独立してキャリキャリアコンサルタント専業の人たちです。全員が忙しい中、平日昼間の時間を割いてボランティアで小学校のキャリア教育に集まったメンバーです。
「やりたいこと、好きなこと、得意なことは、色々な経験をしていくにつれて、少しずつ変わっていくと思います。でも、それでいいのです」「ふーん」「皆さんはこれから先、色々な新しいことに勇気を出してやってみて下さい。そして、先生たちと同じように色々失敗したり、頑張ったり、楽しい経験をして、何が自分に向いているか、将来どうしたいかを、少しずつ考えてほしいと思います」「『アンパンマンのマーチ』の歌詞をもう一度みんなで見てみましょう。ね。いいですか?」「はーい!」
小学生時代は何でも吸収してくれるスポンジのような時期だとつくづく思います。
私の参加しているDFの理科実験でも同じです。「目の輝き」、「探求心」、「知る喜び」、「わくわく感」、子供たちと一緒に理科実験をしていると、沢山のポジティブな言葉が湧き出てきます。
そして、理科実験で学びの楽しさ伝えるには、その前に先生自身の私たちが学びを楽しんでいることが大切ということで、理科実験メンバーはプログラム改善・開発に日々努力されていて頭が下がります。
まだまだかけ出しのキャリアコンサルタントで、理科実験のもかけ出しですが、子どもたちの目の輝きを楽しみに、それぞれのボランティアの場に参加しています。
たきた ひさと (1430)
(理科実験グループ)
(元ブリヂストン)