欧州に見る電動化のプロセス - 大市場ではEVが当面の現実解

活躍する会員(2024)
2024年3月14日

山﨑雅史会員(804)の欧州市場における自動車電動化の最新情報の調査レポートです。いつもながら膨大な資料に基づく精緻な解析です。以下、山﨑さんの説明と動画です。


HV、PHV、EV等の環境車は今後、世界でどのように普及していくのだろうとの素朴な疑問を持ち続けていました。そして、それを解くカギがもしかすると、2035年までに基本的に内燃機関車の新車販売を禁止している欧州の流れのなかにあるのではないかと思いました。欧州の多種多様な条件を有する国で登録される新車のパワートレインの推移を分析してみると何かが見つかるのではないかと思い、欧州自動車工業会のデータベースにアクセスし、欧州の代表的な大小15の国について調べてみました。その結果、最終的にEVに到達するまでには次の4つのステージがあるとのことにたどりつきました。

ステージ1
HVのシェアが増える
ステージ2
HVとEVのシェアがほぼ同じペースで増える
ステージ3
HVのシェアが減りEVのシェアが増える
ステージ4
PHVやEVのシェアが増える

そして、欧州のなかでは現在、大市場(年間販売台数50万台以上)の国で、限定的にはEVが増えているもののまだステージ1にあることが分かりました。この結果を米国にも適用すると、米国もまだステージ1にあり、この欧米の状態をマスコミは「予想外」と捉え「EVに変調が起きた」と騒いでいるように思います。一方、今、中韓勢はタイやインドネシアにEVの攻勢をかけ、日本車の牙城を切り崩そうとしています。しかし、今回の結果をもとに予測すると中韓勢によるタイやインドネシアでのEVの普及は限定的で、EV以上にHVが普及する余地が大きいと思います。日本の自動車メーカーは内燃機関に磨きをかけ、継続してHVに力を注ぎ、なおかつ本格的なEVでの将来の競争への準備をぬかりなく進めるという道を邁進すべきで、迷わずぜひそうしてほしいと思います。それこそが日本の自動車メーカー、自動車産業が生き残る道筋だと思います。拙速に内燃機関を手放さないことが重要だと痛感します。

日本の自動車産業の今後を考えるうえでのご参考にしていただければ幸いです。

山﨑会員のYouTubeチャンネルは こちら

34分の動画をご覧ください。

以上(小林 慎一郎)