- 日時
- 4月16日(火)15:00~17:00
- 場所
- 中央電気倶楽部 311号室
- 内容
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- 第1部 : 東京理科実験チームの活動について
- 第2部 : ミニ勉強会「厚鋼板・高級鋼の話」
- 懇親会
- 17:00~19:00
第1部は、東京から小林慎一郎会員に参加していただき、理科実験チームの活動についてレクチャーしていただきました。メインの講師はどうするか、必要な費用はどうするか、など検討課題は多いですが、具体的な実験の相手先を決め、検討項目を具体化した方が早そうなので、そのアプローチ方法についてのアイディアを関西会員に募集したいと思います。
また、今回の勉強会には天文学者で関西学院大学教授の中井直正先生に特別参加していただきました。その後、正式にDF会員になっていただくことが決まったようです。先生は三田市主催の「望遠鏡を作って、宇宙を見よう」という企画を担当されていますので、このテーマの京阪神版を作る案も検討したいと思います。いずれにしても、数名のチームを早急に立ち上げ、具体的な検討を始める予定です。
第2部では、鉄の話をさせていただきました。私は、40年以上も前のオイルショック時代に鉄(厚板)の営業を経験しましたが、現在の脱炭素時代に生かせる面があるかもしれないと思い、その後の展開を追ってみました。鉄の世界は昔も今もハイテン化の歴史だと思います。オイルショック前後では造船材のハイテン化が進みました。この結果、軽量化(薄厚化)と溶接性が大きく改善されました。オイルショック後もこのニーズはますます高まり、造船だけではなく、陸材にも波及し、建築物、橋梁の分野でもハイテン鋼の利用が大幅に増加しました。また、オイルショックを契機にエネルギー関連では、石油備蓄の拡大、LNG、LPG の輸入拡大がすすみ、貯蓄タンクの大型化が進みました。ここでは、石油、ガスタンクのハイテン鋼使用、液化ガスタンクでは低温用鋼の使用が拡大。また、原子力発電所の建設もピークを迎え、圧力容器用の高純度で高温使用の極厚大単重品の開発が進みました。また、揚水発電所の建設も拡大し、水圧鉄管のハイテン化が進みました。さらに海外では石油化学プラント、ガスプラントの開発が増加し、高温、低温種々の圧力容器用鋼板、シームレスパイプ、大径鋼管等の需要が拡大しました。
2000年を迎えると、日本の粗鋼生産は中国に抜かれ、造船業も韓国、中国に後れをとります。しかし、陸に上がれば、高層建築、大型橋梁等で日本のハイテン鋼が威力を発揮します。橋梁では、明石海峡大橋、東京レインボーブリッジ、横浜ベイブリッジ、東京ゲートブリッジ、建築では横浜ランドマークタワー、東京スカイツリー等にハイテン鋼が多く使用されています。また、日本の潜水艦は年々大型化しています。ここでも極超高張力厚鋼板が進化を支えています。
日本の鉄鋼業は最近では、粗鋼生産量でインドにも抜かれ、厳しい状況が続きますが、自動車向けハイテン鋼板にみるように技術面ではまだ他国を圧倒しております。しかし、現在の優位性を今後も維持していけるかどうかを注視したいと思っています。
以上の背景を知っていただいたうえで、以下の資料をご参考ください。
用途別に使用される厚鋼板について
- タンク用(大型原油、LPG、LNG、都市ガス他 )
- 原子力発電所(原子炉圧力容器、格納容器)
- 水力発電所「揚水発電所」(水圧鉄管)
- 化学。ガスプラント(脱硫装置、各種反応塔、圧力容器)
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橋梁、大型構造物、海洋構造物に使用される厚鋼板
明石海峡大橋、レインボーブリッジ、東京スカイツリー他 - 潜水艦