( 2020年11月23日 掲載 )
発行:2020年11月10日 世話役:横山 祐作 副世話役:矢島 健児 編集・文責:矢島 健児
小林慎一郎会員より以下の報告があった。
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日本の創薬は1990年代にようやくグローバル化し、世界に通用する新薬を製品化できるようになった。最初に、ご自身が所属されていたエーザイ(株)の歴史を述べられた。次いで、最近の注目度の高い薬剤として、米国ベンチャーで創出されたC型肝炎ウイルス治療剤(ソフォスビル、100%の治癒率達成)、日本のアカデミアで見いだされたがんに対する免疫チェックポイント阻害抗体(小野薬品、ニホルマブ、2~3割の患者で長期の生存)、さらに既存の抗体に独自の抗がん活性化合物(第一三共、ペイロード)をケミストの技術を生かしたリンカーを介して結合させ優れた効果を示している抗体-薬物複合体(エンハーツ)の創出が紹介された。
次いで、エーザイで吉松氏自ら創薬に参加し製品化に到達することが出来た2種の抗がん剤(ハラベン、レンビマ)の創薬について話された。また、エーザイ発展の原動力となったアルツハイマー病に対する創薬(アリセプト)の開発過程や、承認直前の治療薬(アデュカヌマブ)開発の現状についてもわかり易く話していただいた。最後に64歳でエーザイを退社し飛び込んだバイオベンチャー(国立がん研究センター発ベンチャー)での取り組みについて触れられた。
2時間近くにわたる熱のこもった講演で、専門外の我々には多少難しい部分もあったが、大変興味深く、勉強になる講演であった。
吉松賢太郎氏の資料はこちらをご覧ください 。
各部会の報告から前回7月の定例会の時に比べ各々活動が活発化しており、喜ばしいことと思います。このコロナ禍の中、部会の運営方法あるいは実施方法をいろいろ工夫された賜物と思います。一方吉松氏の講演は 日本の創薬業界 会社での創薬開発状況を素人にとっては少々難しい話題を熱弁をふるっての講演で、現在の抗がん剤、アルツハイマー病に対する創薬の開発状況が知れてZoomであるにも関わらず、有意義な講演となった。
(文責:矢島健児)