第143回DF経済・産業懇話会開催
「日本産業は何を目指せば生き残れるか」
— 事業再生ADRの活用について —
- 開催日
- 2022年12月14日(水)13時30分~14時30分
- 場 所
- DF会議室 Zoom
- 講 演
- 「事業再生ADRの活用について」
- 講 師
- 荻野 好正 さん
- 参加者
- 29名
趣旨
今回は少し馴染みの薄い分野だが、企業にとっては心に留めておくべき、企業が難航した時の再生について、ADRの活用を軸に曙ブレーキで苦労された、荻野さんから実例と現状についてのお話を伺った。初歩的な質疑も含めて、ADRの理解が進んだのではないかと思える。
説明資料
質疑応答
- Q.
- 銀行だけが対象、全会一致などを見ると、活用されている件数が少ないのではないか。
- A.
-
知名度がない、再生についてのプログラムは色々あるが、事業再生ADRの存在があまり知られていない。
財務の知見のある人でもあまり知られていないのではないか。
今のところ、このプロセスに対応できるのはJATP一機関しかない。本来は、サポートできる機関を増やしかったのではないか。
METIが昨年、まとめた資料を出した(参考資料6)のもPRのためではないか。
中小企業には、各都道府県の企業再生協議会での実施でカバーできるが、但し、リスケに限定される。 - Q.
- 株主、親子関係等もっと親が面倒を見るべきではないか、親の責任はないのか。
- A.
- 親会社がもう面倒見切れなくなって子会社が申請することはありうる。ただ、過去のケースでは、親も含めてグループとして再生になっているものが多いと思う。また親の責任は株主責任として責任を取ることになる。
- Q.
- このシステムは企業を助けるより、金融機関を助けるための方策ではないのか。
- A.
- 確かに私的整理ではメイン行にしわ寄せがいくようになるケースが多かったと聞く。このしわ寄せがなくなり、全金融機関が同一の比率でプロラタとなる。
- Q.
- 誰が議事を取り仕切るのか、時間がかかるのは議長の問題ではないか。
- A.
-
JATPが取り仕切る、3名が選任されるが、かなり企業再生を実現させるという観点でみてもらっているのではないか。
JATPは弁護士、会計士などの専門性をもってパートで支援し、きちんと機能していると思う。時間がかかるのは、事業会社側での資料準備に時間がかかるということで、JATPの理由で時間がかかるということではない。 - Q.
- 失敗の例があるが、外資が問題なのか。
- A.
-
外資銀行にこれを判らせるのは難しい。
基本的にはぎりぎりの段階ではなく、早い段階から検討すべき。会社更生法に行くかどうかというより、もっと早い段階で検討できる仕組みだと思う。
リスケだけで再生に持っていける会社には、使い勝手の良いシステムだと思う。 - Q.
- 事業再生の手段の一つだが、企業にとってのメリットは何か、銀行だけのためではだめなのではないか。
- A.
- 一般債権に全く手を付けないで事業再生ができるという点で、企業には大きなメリットがある。法的整理で一般債権者までいくと信用問題、オペレーション自体継続できないなどの問題がなく、事業会社にもメリットのある仕組みだと考える。