7月定例山行
八ヶ岳最南端の編笠山から西岳を縦走

粋山会
2023年8月18日
  1. 実施日

    2023年7月20日(木)~21日(金)
  2. 参加者

    《50音順、敬称略》岡田 克己、正田 良次、築地 美憲、中重 賢治、並河 秀憲、真弓 博司、柳瀬 計宣、幹事:成田 嘉宏、江村 泰一(記)
  3. 行程

    20日
    観音平発 10:05 → 雲海展望台 11:05 ~ 11:10 → 押手川 12:12 ~ 12:35 → 編笠山 15:00 ~ 15:10 → 青年小屋 15:50 (宿泊)
    21日
    青年小屋 6:35 → 西岳 7:30 ~ 7:45 → 不動清水 11:30 ~ 11:35 →富士見高原ゴルフ場ゲート 12:15

4. 山行報告

八ヶ岳は長野県と山梨県の県境付近に位置し、南北30kmにわたる連峰である。その最高峰は赤岳で2899mとアルプス並みの高度をもつ。なだらかな様相を持つ北部と、険しい岩場を多く持つ南部に大別されるが、編笠山はその最南端に位置し、南部の中では比較的アプローチ等に恵まれ、南アルプス等の展望がよい人気の山である。
編笠山を北側に下ったところには「青年小屋」という山小屋があり、別名「遠い飲み屋」として知られている。飲兵衛の多い粋山会には魅力的なネーミングである。

コースとしては、中央線の小淵沢駅からジャンボタクシーで登山口である観音平に入り、編笠山までコースタイムで3時間15分、標高差約1000mを登って編笠山の頂上へ。ここから約30分の下りで宿泊地である青年小屋に入る。
翌日は小屋とほぼ同じ標高の西岳に登頂後、下山口である富士見高原ゴルフ場までコースタイム2時間半の下り、という周回コースとした。

梅雨末期の時期だけあって天候が心配で、出発前の数日は毎日天気予報とにらめっこ。予報では雨模様だったが、当日になってみると見事な晴天が広がっていた。
小淵沢駅に9時40分に9人のメンバーが集結。手配していたジャンボタクシーの定員ぴったり。運転手さんの話によれば、15日から17日の海の日の3連休はどこの登山口もすごい混雑で、さすがに「コロナ明け」だけのことはあった、とのこと。登山口である観音平までは急傾斜の舗装道路を15分で到着。

支度を整えて10時すぎに出発する。出だしは美しいカラマツ林で比較的なだらかであるが、徐々に傾斜は増してくる。1時間で雲海展望台着、青空も見えるがこの辺りはその名の通り雲海に包まれている。徐々に密度を増してくる原生林の中をさらに1時間登ると押手川に到着。といっても川が流れているわけではなく、分厚い原生林の真っただ中である。丁度12時を過ぎたのでここで昼食をとる。ゆっくり休んで30分弱で出発。

ここから頂上までは400m以上の標高差を一気に登る急登となる。しかし少しずつ樹林が切れているところもあり、振り返ると甲府盆地が見えてきて、その真ん中を流れる釜無川がよく見える。途中に梯子もある急登をあえぎながら登ると、最後には樹林が消え、ハイマツ帯から露岩帯となると待望の頂上である。押手川からは約2時間半、少し時間はかかったが、頂上では少し雲はあったものの、素晴らしい展望が待っていた。八ヶ岳最高峰の赤岳をはじめとして権現岳、阿弥陀岳、天狗岳、さらには北端の蓼科山までが一望でき、一同しばらくそれらの雄大な展望を楽しんだ。今日は夕立と雷雨も心配だったが、いまのところ大丈夫のようだ。

あとは下るだけである。しばらく下ると青年小屋が見えてくる。小屋の手前は累々たる大きな岩が転がる露岩帯になっている。岩と岩の間に入り込んだり、隙間に落ち込むと厄介なので、赤いペンキの誘導によりルートを外さぬよう慎重に下り、無事青年小屋に着いた。

本日の宿泊客は、我々の他には単独行の男性一人とのこと。われわれには6畳くらいの部屋3室があてがわれる。この小屋は水場が歩いて5分のところにあり、まずは部屋で荷物を整理して、各自水を汲みに行く。その作業が終われば、待望のアルコールタイムである。談話室に集まり、ビールで乾杯。歓談が始まると間もなく急激な夕立がきた。やはり天候の変化は急激で、われわれの下山のタイミングは絶妙だった。

食事は5時半である。東京を出るまでは灼熱地獄だったが、ここでは暖かいストーブが燃やされている。それもそのはずこの小屋の標高は2400mなのである。食事の内容もボリューム・品数等十分に満足できるものだった。

食事前の懇談、食事、食事後の懇談を通じて、単独行の人も加わり一段と楽しい一夜となった。この人は名古屋の方で、学校の校長を最近退職し、ここのところは山三昧、テント山行しているとのこと。

食事後も、なにしろ「遠い飲み屋」なので宴会はしばらく続いた。

しかし、飲み会も一段落し、そろそろ皆さんが眠りについてしばらくすると、ものすごい雨音と比較的近くに落ちたらしい雷の音で目がさめた。再度の雷雨で、しばらく激しい雨が続いていた。

翌日の朝食は5時半から、みな4時半過ぎから起き出し、近くを散歩したり、小屋周辺の展望を改めて楽しんでいた。出発は6時半、西岳までは軽いアップダウンのある気持ちのいい道を1時間で到着。ここも展望のいい所で、南アルプス、富士山は雲がかかっていて見えないが、雄大な権現岳や昨日登った編笠山が手に取るように見えて、最後の展望を一同堪能した。

ここからは下り一方である。最初は岩のゴロゴロした急下降で、転んで一回転した人もいたようだが、大きな怪我もなく事なきを得た。下るにつれ傾斜も緩んできて、美しい針葉樹林帯となる。結構長い下りでいい加減嫌になるころに、このルート上唯一のまさにオアシスである不動清水に着く。こんこんと清水が湧き出ていて、冷たくてすごくおいしい水であった。あとは林道と山道が入り混じる歩きやすい道を一下りすると下山口の富士見高原ゴルフ場の裏の林道に出て、今回の登山は無事終了。予定通りのコースを歩きとおすことができた。

呼んでおいたジャンボタクシーに乗車、車で15分程度の道の駅こぶちざわに併設された入浴施設「延命の湯」で2日間の汗を洗い流し、同施設内の和食処で恒例の打ち上げを盛大に行った。

以上(江村 泰一)