2021/10/01(No.350)
松本 雅登
銀行員時代に各地に赴任し、様々な土地の生活を経験することが出来ました。
中でも、私にとって最も忘れがたいのは、大阪に勤務した折に住んだ奈良・生駒での思い出です。
元来私は、たいした仏教徒でもなく、特に寺社仏閣を訪ねたいと思ったことも無かったのですが、奈良は日本屈指の国宝の所在地であり、とにかく歴史がある上、何といっても古い寺社が豊富で、立派な仏像が驚くほど多いのです。奈良公園周辺の興福寺、東大寺、春日大社だけでも十分に圧倒される迫力、重厚さです。東大寺と言えば大仏様しか連想しなかった私にとって、三月堂の仏像のオンパレードには驚きと同時に厳粛な気持にさせられました。以来、法隆寺、
ある取引先の社長が、自分にとって最も美しい仏様は「
東大寺 大仏殿を背景に
いずれにせよ、自分の今まで生きてきたビジネスの世界、経済中心の浮き沈みの激しい世界からすると、千年以上の時を隔てて世の中を静かにみてこられ、佇んでいらっしゃる仏様にお会いするたびに、その清らかな姿に強く惹きつけられ、一瞬にもせよ、我が身が浄化されたのではないかと思い、そのような仏様をお訪ねしたい一心で、次々とお寺を訪ねて回ることが、何よりの楽しみとなっていったのです。
しかも、これらの寺社は、安置されている仏像のみならず建物とそれを取り巻く庭園、また近辺の自然の様子もなんとも広大で格調が高くそれらが相まって荘厳さと落ち着きを醸し出しているのです。
というわけで、私にとっては、仏像めぐりは感銘以外の何物でもなく、ほとんどの週末は年季の入った愛車を駆って、妻と小学生の子供を乗せ、時に感謝され(?)迷惑がられ(!)阪奈道路を突っ走ったり、いそいそと近鉄に乗り込んでいたものでした。
法隆寺
百済観音立像
東大寺三月堂
不空羂索観音立像
円成寺
大日如来坐像
そんな中、私も先の社長に倣い、僭越ながら私の好きな仏様を3体挙げて見ることにしたところ、法隆寺の
法隆寺の百済観音は、立ち姿の優美さ、高雅な風情に。三月堂の不空羂索観音は白い
それから、見事な造りの寺院、神社もぜひ挙げてみたいと思います。
まずは、奈良の春日大社。春日山をバックにこの世ならぬムード漂う灯篭の群れ、この神社の神域と、奈良公園、若草山、鹿の姿、すべてが渾然一体となって奈良の風格が迫ってくる気がします。
次は、長谷寺。桜井・初瀬山に堂塔が並び、登廊を上がって舞台造りの本堂。ボタンも有名ですが、桜の頃の美しさも素晴らしいです。枕草子にも出てくる当時から推奨される観光スポットです。本堂正殿に安置される十一面観音菩薩立像は10メートル余りの高さの日本で最大の木造仏であり、金色に輝くお姿で、妻はこの長谷寺と長谷観音が贔屓です。
桜井と言えば、
さて以上が私なりの奈良寺社巡りの記です。
今でも奈良、京都は私にとって心浮き立つあこがれの地であり、機会があればこれからも何度でも訪れたいと思います。
まつもとまさと(1105)
企業ガバナンス部会 映画同好会 元北陸銀行