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一般社団法人 ディレクトフォース

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 2019/03/16(No289)

田舎暮らしと趣味三昧と健康と (後編)

ーー ワインとバラと畑作と ーー

石井 勝巳

前編では私の健康生活について述べましたが、引き続きワインの楽しみ方やバラの栽培、畑作の苦労話などをご紹介いたします。

ワイン考

 私はベルギーに駐在して欧州中を駆け巡る間にすっかりワイン漬けになった。彼の地ではワインは酒の中の酒であり、家庭、レストラン、パーティーなど至る場に欠かせない存在である。また、人と酌み交わす場合、ある程度ワインの知識やマナーが不可欠だ。1990年頃、英国三菱電機の英国人会長がベルギーを訪れた際に会食する機会あり、ワインの高度な知識レベルに圧倒された記憶が今でも脳裏に焼き付いている。我が方は現地人2名を含む3人がかりで会長に対抗したものの、横文字での会話のハンディも手伝い全く歯が立たない苦い経験であった。爾来、ワインの知識を積み上げる努力を重ねてきたが、その懐の深さを前にして脆くも脱帽するばかりで、世界のワイン愛飲家とは容易に対抗出来そうにない。

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デイリーワインとして人気の高い ポルトガルワイン3点セット
デイリーワインとして人気の高い
ポルトガルワイン3点セット
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ボトル1本を軽く開ける酒豪たちと 会話を楽しみ 飲みかつ食べるワイン会

 ボトル1本を軽く開ける酒豪たちと
会話を楽しみ 飲みかつ食べるワイン会

ワインは、人類が親しんだ「最古のお酒」といわれ、古代エジプト、メソポタミアに発祥してギリシャ時代に地中海地域へ、更にローマ時代に欧州全域に広められた。その後、16世紀から19世紀に亘る欧州列強による植民活動と共に米国、豪州、南米などの新世界にワイン造りが拡大された。

Wine という英語の語句には、名詞として①ワインというお酒 ②元気、活力源、喜ばせる(酔わせる)ものーーと、動詞として「気前よくもてなす」ーーという意味がある。

”Wine and dine”という英語表記は「飲みかつ食べる」という意味合いがある。ワインと料理との相性のことを仏語で ”Mariage”(マリアージュ)といい、そもそも「結婚」を意味する。古くから食文化が著しい進歩を遂げた仏では、ワイン造りが世界に先駆けて先行し、特に料理とのマリアージュに拘りを持つようになったのは必然であろうか。マリアージュには、①味わい ②味の強さ ③見た目の色 ④歴史・文化ーーという要素がある。その土地の食物や料理には、その土地のワインが最も相性が良いとされる。長年、その土地の人々によって愛好されてきたマリアージュはやはり有無を言わせない説得力があり、また安心感もある。

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ロワール産のシェーブルチーズには同じ産地の白ワインや発泡ワインのマリアージュが最高のご馳走
ロワール産のシェーブルチーズには同じ産地の
白ワインや 発泡ワインのマリアージュが最高のご馳走
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ワイン会

プイィ・フュメ
白 2014年
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ワインの保管に流用するコルク栓と スクリューキャップ

ワインの保管に流用するコルク栓と
スクリューキャップ

私は欧州での生活が長かった所為かチーズが大好物で、ワインとのマリアージュには頗る関心が高い。ロワール地方特産のシェーブルチーズ(山羊乳)には、同じくロワール産白ワイン(例えば、プイィ・フュメ 白)または発泡ワインとのマリアージュが最高である。また、赤ワインとのマリアージュも秀逸なこというまでもない。

ワインの保管には、冷暗所(12~15℃)と適度な湿度(70~75%)を保つことが条件となり、理想は地下セラーだが現実的には市販のワインセラーが適当である。我が家には2台のワインセラーがあり、安物から少々お高いワインを品揃えして保管している。

ワインを開栓後数日間に亘り如何に保管すべきなのかが問題になろう。ワインを開栓すると酸素や空気の微生物が容器内に侵入してワインは変質する。長い眠りから覚めた赤ワインは、開栓後少なくとも1時間は放置するか、またはデカンタに移して所謂「デカンタージュ」を行うのが一般的である。「一度開栓したワインは直ちに飲み干さなければならない」とは必ずしも言えない。熟成のポテンシャルの高い赤ワインの場合、むしろ開栓後数日経過後の方が味わいを増すこともある。抜栓したコルクやスクリューキャップを再使用したり、あるいはワインセーヴァー(ゴム栓と空気抜きポンプなど)を利用するのもよい。

2006年1月に「DFワイン同好会」を立ち上げて以来、一貫して幹事役を務めている。2、3か月に一度開く例会は、幾多の曲折を経ながらも遂に70回を数える。今では代表幹事職にあり、同好会の運営に汗をかいている。DFメンバーに加えてゲストを招くことが多いが、ワイン同好の志を集めた例会は実に楽しい。マーケットからお好みのワインを調達して店に持ち込み、フルコース料理と共に味わうのは醍醐味満点だ。また、例会の合間には、少人数のワイン同士を集めた「プチワイン会」も開く。あれやこれやを数えると毎月のようにワイン会に参加することと相成り、些か肝臓を労わなければならないと気遣う昨今である。

バラ栽培奮闘記

バラ栽培を手掛けて以来かれこれ10年が過ぎた。それ以前には和洋折衷のしっとりと落ち着いた雰囲気の庭であったのが、バラ栽培後は樹々は残すものの芝生を潰し、つるバラなどが暴れ放題のバラ園と化した。人は我が庭を指してジャングルと酷評するが、当方はよく見れば手入れの行き届いたイングリッシュガーデンだと自負している。バラ栽培は、厳寒期の手入れ作業が1年の勝負を決する。厚手の防寒具に身を包み、寒風吹きすさぶ屋外の作業は過酷極まりない。健康を害したならば不可能なことは言うまでもない。加齢を考えたらいつまで耐えられるか保証の限りではないが、今は美しいバラの魅力の虜となってガムシャラに取り組んでいる。

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丹精込めて育て上げた自慢のバラ「ダイアナ」
丹精込めて育て上げた自慢のバラ「ダイアナ」

バラ株の本数は正確に把握していないが、庭植えが凡そ70株、鉢植えが10株というところだ。バラは挿し木でも十分栽培できる。マダムが無暗矢鱈に挿し木して育てたのを鉢植えにしているので増える一方だ。

庭植えはスペースに限りがあるから、枯死した場合に改めて購入する程度で株数は増やさない。冬季の作業は、年末年始にかけてつるバラの剪定・誘引から始まる。これは高所作業を伴い最も手間がかかる。10年も経つとつるバラは太く大きく育ち、一人では手に負えなくなるのでマダムとの共同作業と相成る。例年クリスマスやお正月は返上する多忙となる。つるバラを退治してから木立バラの剪定に着手するのだが、これは株が小振りでつるバラのような誘引作業を伴わないので労力は少なく楽しみながら作業する。人間を切れば罪になるが、バラは思いきり切っても咎められることはなく、むしろ深く剪定した方がよく生育する。剪定・誘引作業を1月までに完了してから寒肥作業に取り掛かる。

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仲間と共に毎年行う Rose party

仲間と共に毎年行う Rose party
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年末年始に行う「つるバラの剪定・誘引」の高所作業

年末年始に行う「つるバラの剪定・誘引」の高所作業

これは株元の二か所を掘り、堆肥や油粕などを施肥するもので、相当な重労働となる。

冬季作業を終えると3月頃芽吹き、5-6月頃の春バラと10-11月頃の秋バラの季節に移り行く。バラは殺虫・殺菌など消毒作業が欠かせない。春から秋にかけて畑と併せてほぼ毎週大変手間のかかる消毒作業を行う。同時に、癌腫病やテッポウ虫との壮絶な戦いもある。

過酷な手入れ作業に呼応して、見事なバラが開花した時は正に極上の喜びを感じる。バラの季節には、仲間を呼んで毎年恒例の Rose party を行う。バラ仲間、ベルギー駐在仲間、スポーツクラブ仲間、ご近所さんなど春、秋それぞれ4-5組のパーティーが集い、忙しくかつ楽しいひと時を過ごす。

畑作奮闘記

自宅から近い畑には、季節を問わず多種多様な野菜や果樹類を栽培している。中にはジャガイモ・ネギ・タマネギのような年間を通じた半自給自足の野菜もある。枝豆・ソラマメ・ホウレン草のように冷凍保存して長く食することのできるものもある。最近、従来の大型冷蔵・冷凍庫では間に合わず冷凍庫単体を購入、野菜や果樹類の冷凍保存の応用範囲が広がった。我が家では年間を通して様々な野菜や果樹類が食卓に上り、格好の栄養源を供してくれる。健康の源だと感謝している。

山里に近い畑地では猪、猿、鹿、アライグマ、カラスなどの鳥獣被害が深刻で、電気柵を設けたり、はたまた畑作を放棄する例もあるようだ。我が畑地は山里からは遠く立地しているので、カラスを除いて野獣被害は今のところないのは幸いだ。スポーツクラブの仲間には、比較的規模の大きい畑作を行い、無農薬栽培を心掛けている向きもある。しかし、ここ温暖地では害虫や病原菌との闘いは避けられず、私の見解では無農薬栽培は幻想に過ぎない。最盛期には1週間乃至10日ごとに殺虫・殺菌消毒を行うので多忙だ。

我が畑では、春夏秋冬1年を通じて各種野菜を回転させる。狭い畑地なので、連作障害を避けるのに区画の回転には腐心する。その為に、肥料に工夫をこらし、2馬力のミニ耕運機で深耕する。

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季節になると害虫や病原菌と闘う多忙な毎日が続く
季節になると害虫や病原菌と闘う多忙な毎日が続く

夏季には、暑気を避けてバラの消毒・手入れや畑作業を朝飯前に通常3-5時間も行うので、必然的に「ブランチ」と相成る。その後は全館冷房の屋内に閉じこもり、読書やインターネットいじりに至福の時を過ごすことになる。

果樹類を数種類栽培している。宅地内には柿、ユズ、ラズベリー、畑にはレモン、スダチ、キンカン、ミカン、ライムがあり、いずれもビタミンはじめ各種栄養源となる。一方で、害虫や病原菌との凄まじい闘いも強いられ、年間を通じて安閑として過ごせない。

◇ ◇ ◇

戸建て住宅に住み、庭いじりや畑作を営む田舎暮らしは緊張感が絶えない。草花、庭木、雑草、野菜などのいわゆる生き物と、害虫、病原菌、鳥獣類、風雨との壮絶な闘いなど、常に対峙する時の緊張感は筆舌に尽くし難いものがある。マンション住まいとは大いに異なる事情だ。この場合、全ての前提は心身ともに健康であることに尽きる。ここに、自他ともに許す私の「健康オタク」の所以があろうと思う次第だ。エンドマーク

いしいかつみ ディレクトフォース会員(264)
 元三菱電機

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