2018/7/15(No273)
浅野 応孝
DFアカデミーから鎌倉市民大学での講演を依頼された。私と同じようなシニアに「インダストリー4.0とソサイエティ5.0の創る社会」という演題で何か心に残る話をしてもらいたいという訳である。
昨今、急変していく社会にシニアはどのように向かい合えばよいのか、改めて考え直す機会かなと思い、受けることにした。
社会が変化することの恩恵は沢山あるが、その多くは気が付かないうちに受け入れてきている。慣れてしまって当たり前のようになった良い変化には、感謝の気持ちは少ないが、進化が故に対応できずに不自由に感ずることにはストレスがたまる。
美しい言葉と共に、来るべき社会を目指して政策提言のお題目が並ぶ。
これでどんな社会になるのか理解できるのだろうか、来るべきバラ色の未来とはシニアにとって何だろうか。身近な進化でもPCなどのバージョンアップは有難迷惑であり、シニア自身ももはやバージョンアップが難しいのではないだろうか。
ではシニアは進化にどのように対処すれば良いのだろうか。
社会が進化し、色々便利になっていくことに異論はないし、現在の爆発的な技術革新とグローバル化した競争を考えると、日本にとってもソサイエティー5.0は必然かもしれない。
まだ意欲満々で若さを保てる一部の方は、老化防止のために興味をもって進化を追いかければよいだろう。
しかし、多くのシニアは進化を意識することもなく、自然体で良いところだけ受け入れることだろう。ビットコインなどのような新技術に、敢えて挑戦することも必要ないだろう。
新しい仕組み(医薬や治療法、通信機器、社会システム等)ができても、実績が積み上がりよく理解できるまでは飛びつかないことだろう。
勿論、便利で有益なことはそのエッセンスを先駆者から使えるところだけ有難く教わり、賢く生きることが肝要かと思っている。
大切なことは、今平穏にできてそれなりに満足していることに変化をもたらすようなことは、いらぬお世話と割り切り、静かに見守ることがシニアの心の平和を維持することだと割り切っている。
あさの まさたか ディレクトフォース会員(84)
元三菱化学