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一般社団法人 ディレクトフォース

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 2018/3/16(No265)

「ハンディを持つ人達からの学び」

高田 弘治

私

1月29日に行われた本年最初の講演・交流会で、私が顧問を務めるNPO法人STANDの代表理事伊藤数子氏による『すべての人が好きなスポーツに関わる社会へ』と題した、素晴らしく感動的な講演を拝聴する事が出来ました。

障がいは特別なことではなく、我々も病気や事故、戦争により全ての人が障がい者になる可能性がある事を講演冒頭の動画で紹介して頂きました。このNPO法人は、「すべてのパラスポーツを、One of the sports へ」と言うビジョンを掲げ、「知る」「見る」「参加する」「応援する」、そこに障がいの有無というバリアなど存在しないと言う考えを持って活動している団体です。我々も、2020年パラリンピックで活躍する日本人選手を「応援」する為に、会場に駆け付け支援したいものです!

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1月29日の講演・交流会の懇親会で お招きした伊藤数子氏と
乾杯の挨拶を勤めさせて頂いた私

彼女の講演内容を少し紹介する事にします。1964年の東京オリンピック開催後にパラリンピックも東京で開催されたことをご存知でしょうか。このパラリンピックの起源は、第2次世界大戦の傷痍軍人のリハビリのために始まった障がい者スポーツで、英国のストーク・マンデビル病院のグットマン医師が提唱し、1960年ローマ大会で第1回、そして第2回が東京オリンピック開催後に日本代表団53名を含む22カ国375名が参加して9競技144種目が開催されました。

当時の障がい者は、ほとんどが絶望の中で施設か病院に入院して短命との事でした。英国留学中にパラスポーツを知った医師が、下半身以外は健康な一人の患者さんに東京パラリンピックへの参加を薦め、選手村で交流した海外選手が家庭を持ち、仕事をし、スポーツを楽しんでいる事に刺激を受けた彼は、車の免許を取り、仕事に就いて家庭も持つ事が出来たのでした。彼は障がいを持っていると言う心のバリアを自分の意志で打ち破り、一つのハンディを持つ人として人生を変えたのです。(当日の講演記録はこちら

◇ ◇ ◇

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日本バリアフリー協会代表理事 貝谷嘉洋氏
(提供元:NPO法人日本バリアフリー協会)

障がい者と接する機会の無い人生を送ってきた私が、数年前の2014年12月のクリスマスパーティーで、電動車椅子に乗った 日本バリアフリー協会代表理事 貝谷嘉洋(かいやよしひろ) と出会ったのです。彼の略歴を日本バリアフリー協会のホームページより抜粋すると、1980年小学生の時に「筋ジストロフィー」と診断を受け、1984年自立歩行不可能となる。1993年関西学院大学商学部卒業後、単身で渡米し現地の介護者を雇用し自立生活開始。帰国後1997年野田聖子郵政大臣政策秘書を務め、1999年に再渡米し カリフォルニア大学バークレイ校ゴールドマン政策大学院修了。 同年 「魚になれた日-筋ジストロフィー青年のバークレイ留学記」講談社を出版。 2000年 手先だけで運転できるジョイス ティック車を自身で運転しアメリカ一周をNHKのドキュメンタリー番組が放映。 同年 「日本バリアフリー政策研究 所」を設立。 2001年ソロプチミスト日本財団「社会ボランティア賞」受賞し、ジョイスティック車で我が国初の運転免許新規取得。2003年 「ジョイスティック車で大陸を駆ける」日本評論社著。 2009年 「介護漫才―筋ジストロフィー青年と新人ヘルパーの7年間」小学館著。2010年 東京大学大学院教育学研究科バリアフリー教育研究開発センター協力研究員就任。2012年 国士舘大学非常勤講師就任。

現在、彼は日常生活24時間のほぼすべてが要介護ですが、2003年より代表理事を務める【障がい者も一員として社会に貢献】と言うビジョンを掲げた日本バリアフリー協会が主催する障がいを持つ音楽家に活動拡充のきっかけを提供し、適切な配慮があれば、障がい者が能力を発揮できることを一般に理解してもらう事を目的にした、今年15周年を迎えるゴールドコンサートと名付けた障がい者が競う音楽コンテストと、障がい者の就労拡大、その必要性を社会啓発し、その支援のために収益を得る為の障がい者が主催する著名アーティストが出演する音楽イベントのGCグランドフェスティバルの二つの事業に全精力を傾けています。これまでの彼の生き様を見て、およそ障がいを持つ人とは程遠い人物像だと思いませんか!

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ワイン愛好家の私

話をパーティーに戻すと、大好きなワインのおかげで友人との話も弾み気持ち良く出来上がった私がふっと周りを見回した時です。遠くからでも非常に目立つ大きな車椅子に乗った人を発見したので、酔いの勢いもあり千鳥足で近寄って行き「こんにちは」と声を掛けました。彼は電動車椅子を巧みに操り体と顔をこちらに向け挨拶をしてくれたので、私の方から名刺を差し出したところ、名刺を受け取ろうとしなかったのです。不思議な顔をしていると、隣に立っていたヘルパーから名刺を渡されたので、彼は自分の意志通りに腕を動かせない事に気付く瞬間でした。更にじっくり彼の表情を見るとかなりの酩酊状態で、私と同じ酔っ払い仲間だと思ってしまったのです。

会話が弾み、時間の経過と共に電動車椅子と言う技術の塊を巧みに使いこなす彼の姿に慣れてくると、彼が障がい者だと言う事をすっかり忘れていました。たとえ身体障がいが存在しても、本人の志(考え方)と技術力、誰かの支援次第で一緒に楽しい時間を共有できる事を体感したこの時から、障がいを一つのハンディと考えるようになりました。

さてその次の日に、音楽を聴く事が同じ趣味だと意気投合して行きつけのハードロックのライブハウス(六本木バウハウス)に彼を招待し、お店の予約を取ろうとした時です。「彼をライブハウスに招待したが、お店の中までたどり着けるのか?」我々が日常生活において殆ど感じないバリアの存在に気づきました。大急ぎで六本木駅からバウハウスまで歩いてみると、幸いな事にこのお店は隣接している道路から水平垂直移動が可能で、入り口は広く出来る二枚扉と言う世界でも非常に稀なバリアフリーのライブハウスだったのです。我々も加齢の為に今まで簡単に駆け上れた階段に息をきらし、道路や家庭内のバリアに手こずるようになってきています。しかしながら物理的なバリアは、費用はかかりますが技術力によって取り除く事が出来ます。近年、多くの駅にエレベーターの設置が進んでいる理由の一つは、その駅近郊に住む高齢者や障がい者が長年訴えてきたからだそうです。我々も声をあげて、日本のバリアフリーを更に推進したいものです。

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10周年記念ゴールドコンサート グランドチャンピオン 山下純一さんと審査委員長の湯川れい子さん
(提供元:NPO法人日本バリアフリー協会)

さて、今度は彼に誘われて2015年に開催された障がい者が競う音楽コンテストの第12回ゴールドコンサートにボランティアとして初参加した時の事です。一度に多くの障がい者と出会う経験が無かった私は、ただただ驚きました。中でも、学生時代から音楽が好きでカオシレーター(キーボードではなくタッチパッドが備わっており、その上で指を滑らせることによって、音階と音色のパラメータをコントロールして演奏するセンセサイザー)との出会いによって演奏が可能になったと言う脳性麻痺が原因で肢体が不自由なシンセサイザー演奏者 DJ Yuta がパートナーのギタリストと共に不自由な身体を必死でコントロールしながら奏でる音楽に身体が震えました。目を閉じて聞いていると、そこにはハンディをサポートする工学的技術力と本人の意思が育てた身体的技術力によって演奏される感動的な音楽が存在するのです。これ以来、このゴールドコンサートを主催する日本バリアフリー協会の実行委員会に参加するようになりました。今年も10月6日に、15周年ゴールドコンサートが東京国際フォーラムに約1,000名の来場者を迎えて開催されます。ハンディを持つ人達が奏でるどんな楽曲と感動に出会えるのか、今から楽しみです。

◇ ◇ ◇

最後に、2月6日に「観て、知って楽しもう!パラスポーツ/ブラインドスポーツ編」一緒に歩いてみようと言う企画に参加して学んだ事をお伝えしたいと思います。

このイベントは「声かけからはじめよう」と言うテーマを掲げ、アイマスクをして視覚障がいと言うハンディを持つ人に一時的になりその体験をする試みです。最初に座学で視覚障害と視覚障がい者の生活上・仕事上のハンディキャップについて学び、更に部屋の中で歩行サポート(アイマスクをした人としない人でペアーを組む)を体験し、最後に屋外に出て歩行サポートを実践する試みです。普段は不自由を感じることなく歩いている道が遠く感じ、エスカレーターを乗降する際の恐怖、場所が変わる事による風と空気の変化、普段気がつかない様々な音、中でも一番敏感になったのは多くの人がすれ違う交差点に来た時の人が出す音でした。座学で教わった視覚を奪われるとそれに代わる言葉の目、つまりコミュニケーションが如何に大事であるかをひしひしと感じると共に、誰かが声をかけて導きさえすれば視覚障害と言うハンディを持つ人達も我々と同じ生活を送れるのだと言う体験でした。この体験を通して、視覚障がい者を見かけた時に声をかける自信を持てた事が収穫でした。

「人生」とは人が生きると書きますが、全ての人は何らかのハンディを持っている一方で、素晴らしい能力もいっぱい持って生きています。高齢化と言うハンディに直面する我々も、障がいと毎日付き合っているハンディを持つ人達から「志」と言うソフトと「技術力」と言うハードの使用方法を学びながら、自分を支援してくれる人とのコミュニケーションを大切にして、楽しく働き、一緒に遊んで、謙虚に学ぶ、そんな生き方をしたいと思います。エンドマーク

たかだこうじ ディレクトフォース会員(1093)
現 クレセント経営研究所 元バクスター、ホリスター 

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