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一般社団法人 ディレクトフォース

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2020/06/01(No.318)

「お帰り寅さん、良かった」

 

髙橋 宜治

筆者

正月映画として、23年ぶりに寅さんがスクリーンに帰ってきた。 そして、4月4日からテレビでも「4Kでらっくす 土曜は寅さん*」として帰ってきた。と言っても、テレビで寅さんシリーズが放映されるのは、2008年(13回忌)以来、4回目だと思う。それだけ、未だに「寅さん」が国民に愛されているということだろう。

今、コロナ感染症で息の詰まるような日々を過ごしているが、こんな時こそ、底抜けに明るく、楽天的な「寅さん」に会いたいたいものだと切実に思っている。

右の短冊は、今年(2020)の1月、地元の句会で披露した俳句である。評価はあまり高くなかった。メンバーに寅さんファンがいなかったことが要因と勝手に解釈をしている。

令和元年末、23年ぶりに寅さんがスクリーンに帰ってきたのは、寅さんシリーズ第50作の「男はつらいよ お帰り寅さん」である。

1996年8月3日に寅さんこと渥美清が亡くなった。その為に高知が舞台となる第49作「寅次郎 花遍路」は制作されず、寅さんシリーズは48作(特別編ハイビスカスの花を数えると49作品)で終了となった。以来23年ぶりの第50作となる。

山田洋次監督の長文の出演依頼文で、 いずみ ちゃんこと、後藤久美子も23年ぶりの銀幕復帰である。第50作は後藤久美子なしには成立しなかったことは、鑑賞をした人であれば分かることなので詳しくは省略する。

さて、渥美清逝去は山田洋次監督にさえ知らされず、葬儀は故人の意思で家族だけで行われたそうである。寅さんとしては変わり果てた己の姿を見せたくなかったのであろう。最後まで寅さんだった名優渥美清である。

同年の8月13日に松竹大船撮影所でお別れの会が催され、約3万5千人以上のファンが訪れたそうである。私の記憶では美空ひばりに次ぐお別れの会参加者である。そんな国民的ヒーローにこの時点では、私は全く興味を持っていなかった。それから12年後(2008)、寅さんの13回忌の年にBSで「男はつらいよ」が毎週土曜日に放送された。それまではBGMのように「男はつらいよ」を見て?いた私であるが、初めて真剣に?寅さんを鑑賞した。その時の感動が寅さんフリークになったきっかけである。

それ以来、何回寅さんを見たことか、いや寅さんに会いに行ったことであろうか。

勿論、寅さんシリーズ全49巻のDVDは書棚にある。

実質的に寅さんと出会った翌年の2009年の正月から、3日には柴又帝釈天題経寺(写真上)に初詣に行くことが我が家の習慣となった。今年も例年通り3日に初詣、そして、改装なった「寅さん記念館」にも足を運んだ。やはり映画のせいであろうかたくさんの来館者がおり、大変な混雑であった。


さくらと私

寅さんと私

時代を超えて、何故これほどに寅さんはみんなから愛されるのであろうか?

多くの映画評論家や作家がその理由を執筆している。

その第1に、寅さんの奔放な生き方に憧れるということである。寅さんが誕生した1960年代後半、日本はまさに高度経済成長下の真っ只中にあり企業人はモーレツな毎日を送っていた。その様な時に、寅さんのような生き方ができたらどんなに楽だろうか?そう思った。

寅さんはインテリが嫌いである。しかし、寅さんファンの多くはそのインテリである。そのインテリたちの思いは、「寅さんのように奔放に生きられたらなあ」との憧れである。

理由の第2に、寅さんは正直である。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきり言えるし、行動する。人間好き嫌いだけで生きられるのは幼児の内だけだろう。そんな幼児性をもった寅さんにも憧れる。その幼児性は我儘なようであるが実に純粋である。好きな女性の為なら命もいらない、ましてや指の1本や2本献上してしまうくらい思い詰め、愛すのである。その純粋であるが故に、マドンナに憧れるのであるが、いざマドンナの方から近づいてくると逃げ腰になる。もし、寅さんが逃げていなかったら、とっくにリリーあたりと結婚して寅さんシリーズは終わっていただろう。

その純粋さ、純情さが寅さんを国民的ヒーローにした。

理由第3。寅さんは誰にでも優しいのである。どんなことがあっても、それが筋の通ったことであれば徹底的に応援してくれる。その恩恵を一番受けたのが甥っ子の満男である。

彼が受験に悩んでいる時も、就活で悩んでいる時も、そして恋愛で悩んでいる時も、寅自身ができるかどうかは別として、的確なアドバイスをしてくれる。観客もその時々に、寅さんに会いに映画館に行くと 何某 なにがし かのヒントをもらったことだろう。

寅さんシリーズの最後の別れの場面、多くは柴又駅のホームであるが、名場面がたくさんある。今回は場所が成田空港ターミナルのロビーになるが、これまでの作品に勝るとも劣らない満男と泉ちゃんの別れのシーンであった。

この場面で涙が止めどなく流れたのは、この場面に寅さんがいたら、満男に何と声をかけたか、その優しさが恋しくなったからかもしれない。

このように純粋で、正直で、優しい寅さんが、日本人はみんな好きなのだと思う。益々無味乾燥な世の中になりつつある昨今、寅さんがいろいろなことを教えてくれるように思う。エンドマーク

たかはし よしはる ディレクトフォース会員(858)
 DF事務局 元リクルート

編集註:〈*4Kでらっくす 土曜は寅さん〉は、BSテレ東で2020年4月4日から毎週土曜日午後6時30分より放送。

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